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ファブリアーノのスプマンテ祭りに顔を出す [地域興し]

ファブリアーノという町がマルケ州にある。ここの広場でスプマンテ祭りが開催されたのでそれに顔を出す。広場のすぐそばにて開催されていた。スプマンテとは発泡性のワインのことで、いわゆるシャンパンである。5ユーロ支払うと、ワイングラスとグラスを入れる袋、そして6つの枠から成るカードが貰える。これで、イタリア中のスプマンテ産地から集ったスプマンテを試飲できる。スプマンテは100品目ぐらい出展されていたと思う。その中から6つというと、やはり金メダルを受賞したものなどを試飲してしまう素人ぶりを発揮してしまった。金メダルという他者の評価基準があって、初めて美味しいワインが分かるという駄目ぶりだが、一方では何が美味しいワインかも不明なので、これが美味しいワインなのかと知るうえでは、この金メダル受賞、銀メダル受賞というカテゴリーの分類は有り難い。とはいえ、こうやって味覚といった主体的なものさえも統一化させ、消費を促そうとするマーケティングの怖さもちょっと感じ取ったりする。

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ワインのつまみとしてファブリアーノの特産のサラミとパルメザン・チーズが出される。私はサラミがあまり好きではなく、ほとんど食べないのだが、ここのサラミは今までのサラミの概念を突き崩すほど美味しかった。この味はさすがイタリアと思わせる凄みがあった。このサラミとパルメザン・チーズをパンにのっけてスプマンテを飲むというのはなかなか楽しいイベントである。また、会場を盛り上げるために地元の音楽学校の先生達によるジャズ演奏があった。これが、またなかなか上手くて驚いた。イタリアの中世からある広場で、素敵な音楽演奏があって、美味いつまみと一緒にスプマンテを試飲するというのは時間の過ごし方としては悪くない。

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(無料で供された地元のサラミは絶品)

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(演奏に聴き入る地元民の一人)

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(会場から広場を望む)

さて、このスプマンテ祭りはこの5年間くらいの最近のイベントらしく、ファブリアーノのワイン・アナリスト(これは、ワイン評論家ではなく、実際、化学分析をする実験所を持っているような成分アナリスト)と整形外科医が企画して具体化させたイベントである。幅広くスプマンテを広報したいという意図と、衰退している地方都市を活性化させたいという二つの意図が背景になる。スプマンテの広報をするためにイベントに必須のスポンサーが確保できる。そして、この地方都市の活性化という観点からもなかなか成功しているのではないかと思われる。我々も地元の人に声をかけられ、色々と話をしたりしたが(残念ながら英語でだったが)、そうやって人々と知り合ったり、コミュニケーションすることは有益だと思う。我々は部外者だったが、なかにはこれをきっかけに地域内での仕事や趣味などのネットワークを広げることもできるかもしれない。

ファブリアーノは人口が3万人ちょっとの町である。我が国では、これくらいの規模の町で伝統的な祭りが実施できなくなっている。担い手が高齢化したり、形骸化して人を集めたりすることができなくなってしまっているからである。今回のファブリアーノの新しくつくられたスプマンテ祭りに参加して、ローカルな祭りの重要性を認識すると同時に、我が国においてもコミュニティを強化し、そのアイデンティティを発露させるためにも祭りの重要性を再確認しなくてはいけないのではないかと考えた。

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