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イタリアの農家を訪れ、イタリアの底力を痛感する [地球探訪記]

ファブリアーノという町からちょっと行ったところにある農家に日本人の友達と行き、2泊ほど泊まらせてもらう。この農家は二家族で20ヘクタールの農地を所有している。ジャガイモや葡萄、トリュフなどを家族でつくっている。牛は3匹、羊は多数、鶏などを飼っている。この農家には母親と四人兄弟の末弟が住んでいて、日曜日にはポルトガルに住んでいる次男を除いた兄弟が訪れ、農作業などを協力して行っている。ちなみに長男はアンコーナの町で警官をしており、次男はファブリアーノでワインの品質の検査やワイン農家のためのコンサルタント、四男は農作業と地元のコンサートの指揮者などをしている。隣の農家は親戚関係にある。農作物は基本的には自分たちのために作っているそうだ。特にワインに力を入れているが、現在はスプマンテを試作している。そのうち、市場で売りたいという意志を持っているようだが、そんなに切羽詰まった印象は受けず、売れたら売りたいというスタンスでつくっているようだ。この農家はトスカーナにも農地を所有していて、そこではオリーブをつくっているそうだ。この農地は誰も住んでいなくて、時折、農作業のために訪れている。

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(家は周辺の石を建材として100年以上も前につくられたそうだ)

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(葡萄畑)

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(牛は食用として3匹飼われている)

この農家の食事は、驚くほど美味しく、アンコーナのレストランなんかより遙かに上等であった。一日目の昼食はラビオリとズッキーニのキッシュのようなものが出た。ラビオリにはローレルの葉っぱを油で煮たものが数枚つけられていた。このラビオリは相当美味しかった。キッシュもおそらく玉子が新鮮なせいなのだろうか、大変美味で感心した。当然、自家製のワインが出たのだが、このワインも美味しく、イタリアの食生活の豊かさを知る。二日目は日曜日だったこともあり、ニョッキそしてサラダ、野菜の炒め物、牛肉を炒めたものが出た。基本的にはニョッキが主食という印象を受けた。ニョッキはその日にお母さんがつくりはじめ、昼食のちょっと前には台所の大テーブルには大量のニョッキがつくられていた。パスタとジャガイモを混ぜたお団子をつくり、それをフォークで型をつけるという作業をずっとお母さんは続けたのである。日曜日はポルトガルにいる兄弟を除いた家族が揃ったので、総勢で9人にもなった。私はニョッキが苦手であるのだが、この日のニョッキは自分が食べた中では一番美味しいと思った。それを言うと、「これが本当のニョッキでイタリア・レストランに出ているニョッキは中国人がつくっている日本料理のようなものだ」という返事がきた。サラダは極めて普通のサラダなのだが、自家製のオリーブがとても美味しいので、アンコーナのレストランのものよりかはひと味も蓋味も違った。この農家の末弟にいわせると、サラダはオリーブ・オイルが全てであるそうだが、その意見に納得する。この日は自家製のワインだけでなく、スプマンテとよばれている自家製の発泡ワインも開けてもらった。この日は次男が奥さんの実家のそばにある牧場から直接仕入れたパルメザン・チーズを持ってきてくれたのだが、このパルメザン・チーズは飛びきりの味であった。イタリアでもこのレベルのパルメザン・チーズは手に入りにくいと言っていたが、そうなのだろうと納得する美味しさであった。パルメザン・チーズは世界で最も美味しいチーズなのではないかと思わせる美味しさである。友人とこの食事の豊かさは凄い、と感心する。ちなみにイタリアではメインは昼食らしく、朝食は極めてシンプルであった。

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(ラビオリ)

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(キッシュ)

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(ニョッキをつくるお母さん)

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(ニョッキ)

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(パスタの後にサラダと豚肉のソテーが出る)

食事以外の時間は農家を散策させてもらったり、37年前に購入したというアルファ・ロメオのクラシック・カーで周辺の山道をドライブしたり、シンプルなライフルを的に向けて撃ったり、ファブリアーノの町に連れて行ってもらったりした。2泊させてもらってつくづくイタリアの農家の生活の豊かさを痛感する。これこそ、イタリアというかヨーロッパの国の底力なのではないかと思う。イタリアはジャガイモとトマトをアメリカから、そしてコーヒーはブラジル等から輸入しているそうだが、多くの農作物をEU諸国に輸出もしているしっかりとした農業国である。そして、農業さえしっかりとしていれば人間生きていけるなとも実感させられる。農業を核として位置づけられている限り、人はそれなりに豊かに人間らしく生きていけるのではないかと思われる。日本という国の風土を培ってきた農業、そして農村コミュニティがどんどんと弱体化していく今、我々が失うものはとてつもなく大きいかもしれないとイタリアの農家の豊かさを知り、思わせられる。

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(37年もののアルファ・ロメオ。これで周辺をドライブする)

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(ライフルを射撃する。意外とエキサイティングで楽しい)
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