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ゾーストを訪れ、なぜ木組みの町が好きなのかを自問した [都市デザイン]

ゾーストという木組みの家々が残っている人口5万人程度の美しい都市がある。デュッセルドルフからだと1時間30分くらいで行ける。ハムのちょっと先にある都市だ。

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(駅から中心市街地への入り口に建つ木組みのホテル)

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(1階はリフォームされて近代化されているが2階以上は木組みのファサードが維持されている)

木組みの家々が多い都市や町を訪れるのが好きなのだが、なぜ好きかと自問すると、それは木組みの家ではなくオーガニックな都市構造が好きだからだということに気がついた。木組みの家はもちろん嫌いではなく、それなりに興味深いと思っているが、より好きなのはヒューマン・スケールの中世の都市構造というか都市のスケールなのである。特に広場が好きなのだ。この広場が好きというのは、鉄道ファンが電気機関車を好きというのと通じていると思われる。すなわち、一般人にはあまり理解できない感覚というか嗜好なのではないだろうか。そして、木組みの家が残っているような町は、第二次世界大戦での爆撃を免れている場合が多いか、それほどの被害を受けていないので、昔ながらのオーガニックな都市構造がうまく残されている場合が多い。だから好きなのだな、というのに気がついた。ゾーストはそういう意味で、広場もなかなかよくて大いに私は気に入った。中心通りに建つ木組みの家の1階は結構、みなモダンな感じに改装されていた。それはちょっと興ざめではあるが、伝統的景観を維持してかつ現代の流通システムに合わせるには仕方のないことかなとも思わされる。まあ、昔ながらの雰囲気を味わいたければ上を見ろ、ということなのかもしれない。ここで生活している人にとっては木組みの景観など見慣れているものだろうから。

ゾーストを訪れた日は日曜日で、たまたま祭りの日と重なった。中世を再現したように中世の衣装やらを着て、(おそらく)中世の食べ物や飲み物などを供しているようなお祭りだったのだが、これは木組みの家のファサードに囲まれるここゾーストの広場でやるからこそ演出効果が高まるなと感じた。すなわち、ゾーストという都市の舞台であるからこそ、その祭りのコンセプトが映えるのである。同じことを東京でやっても全然、しっくりこないだろうし、おそらくデュッセルドルフでやってもゾーストでやるような雰囲気は出ないであろう。ソフトのコンテンツも重要ではあるが、都市の空間といったハードもその個性を打ち出すには重要な要素であるということを改めて気づかされた。すなわち、都市の個性的な魅力を発現させるためには、ソフトも重要であるがハードという都市資源とうまく結合させることで、より効果的になるということである。

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(中世のお祭りの舞台はやはい木組みの家や歴史ある教会等がバックグランドにないとさまにならない)
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