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木更津を訪れ、アクアラインのマイナスの効果を確認する [都市デザイン]

木更津を訪れる。木更津は東京湾アクアラインによって、大きく変貌することが期待されていた。しかし、アクアラインが開通してから11年経ったが、大きく目論見が外れてしまっている。2000年の人口予測は第一次将来構想の時は34万人。第二次でも24万人。現在は2000年から8年経ったが、12万人。商店街はシャッター通りになっており、地価の下落率は3年間、日本一。アクアラインとの相乗効果を期待してつくった「かずさアカデミアパーク」も立地企業が全然、来なくて大変な状況である。なんか、アクアラインに祟られているのではないか、というような状況になっている。

しかし、実態を調べると、必ずしもアクアラインだけが要因でないことも見えてきた。商店街の衰退は駅前のそごうが撤退したことが大きいそうだ。今でもそごうが入っていたビルには代わりのテナントが入っていない状況だ。さらに木更津市は郊外部で区画整理を行ってきた。その結果、郊外に人が流れて中心市街地が衰退したことも指摘されている。かずさアカデミアパークに関しても当初はサイエンスパークを目指していたので業種を随分と絞ったが、これを緩和したら、ここ2年で6社立地した。

ストロー効果ではあるが、人口的には2005年まで減少傾向だったが、最近は社会増の傾向にある。消費に関しては、買い回り品は昔から木更津の地元ではなくて千葉だったりしたのだが、これが千葉から東京、横浜にシフトしているそうだ。逆に木更津に買い物に川崎方面から来るのは皆無に近いようだ。自家用車では通勤や買い物での移動はほとんどなく、バスが使われる。アクアラインを通行するバスは平成9年に開業して以来、路線数、乗客数も右肩上がりである。東京、川崎、横浜だけでなく羽田、新宿行きなども出ている。その結果、JRから高速バスに利用者がシフトしている。高速金田から平日だと101便もアクアラインを通るバスが運行されているそうだ。

木更津は、高速バスを使ってならば東京の通勤圏に入ってしまった。ちょっと前までは、終バスは東京駅発10時10分。今は深夜便で12時近いものがある。東京駅から高速金田までは40分程度だ。

もう一つの影響としては、宿泊客が減ったことである。通過する人は増えているが、木更津市の吸引力が乏しいために、南房総に行く人の通過点になってしまっている。特に駅前のビジネス・ホテルは大幅に客足が減っている。ビジネス出張だと木更津は完全に日帰り圏となってしまった。木更津キャッツアイを契機に、撮影、ロケなどのオファーが増えた。しかし、これは日帰り圏となり経費がかからなくなったことが理由。従って、宿泊もしないし、木更津市に落ちる金は、せいぜいお弁当代くらいだそうだ。木更津キャッツアイのファンの年齢層が若い人達がやってくるが、彼らもホテルなどには宿泊しない。居酒屋に泊まる。居酒屋の売り上げには影響があったかもしれない。

商工会はアクアラインが整備すると、人は来て、活力も賑わいも増えると思われていたが、実態は違ったそうだ。道路が出来ても、決して地方を豊かにすることが約束される訳ではない。しかし、そういう事例が何件も出てきても、未だに東国原知事のように、道路が欲しい、命の道路をくれ、と言う人が次から次へと出てくる。どうしてだろうか。


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