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「できればムカつかずに生きたい」を今更ながら読む [書評]

田口ランディの「できればムカつかずに生きたい」を読む。随分と昔に購入した本だ。2000年8月に初版が出ていて、私のは13刷だが2001年9月25日とある。おそらく買ったのも、その頃である。こんなエッセイ、もっと早く読んでおけばいいのに、何を積ん読しているんだ、と自分に突っ込みたくもある。しかし、このエッセイを読み終わって、今、このタイミングで読んだことはよかったと思う。というのは、私は2003年4月から大学の教員をしているのだが、このエッセイはサラリーマンが読んでもあまり共鳴できないようなことが多く書かれているからだ。共鳴できない、というか共鳴しているような余裕はないんだよ、こちらはノルマに追われているんだからさ、というリアクションをしそうな内容のことが書かれている。しかし、大学教員をしている立場で読むと、共鳴できることが多く書かれている。何でだろうな、と思っていた私は後書きを読んで納得がいった。
 『今だに私が表現の上で、こだわり続けているのは「思春期」である。あの時代に体験したこと、考えたこと、悩んだこと、それらにようやく答えを出すために、こうして書いている。言うなれば、思春期の宿題を必死で解いているような感じだ』
 大学の教員をしていると、自分が大学時代や高校時代のことをよく考える。いつも相手をしている学生の視点、学生の視座でものごとを見ようと努めるからだ。そのように努めていると、どうしても自分が「思春期」でやり残したこと、悔いが残ること、解かないで放っておいた宿題のことを想起したりする。サラリーマン時代は、そんなことを考える余裕も、考えようと思うこともなかった。大学の教員をしているからこそ、田口ランディの思索に大きく共鳴できるのだ。ドラえもんに関して、ムカついたところなどは大いに共感する。確かに、ドラえもんはのび太をあまりにも甘やかしすぎている。あんなに甘やかされて、挙げ句の果てにしずかちゃんと結婚できるなんて、人生なめまくっているんじゃない、と言いたくもなる。田口ランディのムカつきにまさに共鳴する。私も教員としては、ドラえもん的要素を努めて排除しようと考えた次第である。


できればムカつかずに生きたい

できればムカつかずに生きたい

  • 作者: 田口 ランディ
  • 出版社/メーカー: 晶文社
  • 発売日: 2000/10
  • メディア: 単行本



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