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コペンハーゲンで物欲に支配される [その他]

コペンハーゲンを訪れる。私は海外によく行くが、物欲を刺激されることはほとんどない。なぜなら、日本にほとんど何でもあるし、往々にして日本の方が安いからである。例外として、ブラジルに行くとコーヒー豆と瓶詰めグアバ、キャラメルなどを買ったりするし、インドネシアでは民芸品をたまに買ったりする。しかし、ドイツやアメリカでは買わないし、チェコでも最近2回行ったが買っていない。まあ、ベルギーでチョコを買ったりはご愛嬌でするが、基本的にはお土産は買わない。その私が、このコペンハーゲンではちょっと目の色が変わってしまった。しかも、コペンハーゲンの物価が異常に高く、ほぼ日本の二倍以上であるにも関わらずである。ちょっと、話が逸れるが、コペンハーゲンの物価の高さの例を挙げよう。まず、ホテルの室内に置かれている水。これが45クローネである。現在、1クローネ=20円であるから、ボトルの水が900円ということである!これは尋常ではない。ちなみに、このホテルのマッサージは30分で450クローネ!これは9000円である。なんか、余計なサービスが付随しているのではないかと勘ぐってしまう高さだ。インターネットは24時間接続すると150クローネ!なんと3000円である。ホテルがべらぼうに高いのか!いやいや、マクドナルドのセットも54クローネぐらいだった。街中でのコーヒーは2クローネで、これは400円でまあ理解できるか。生肉のオープンサンドが94クローネで、1880円。と、このように滅茶苦茶高いのである。このような状況で買い物をするなど正気の沙汰ではないが、このコペンハーゲンには私の物欲を刺激する特産品のようなものがあるのだ。ということで、久しぶりに物欲がふつふつと出ている状況で街に出る。

まず、最初に行った店はオーディオ器具を扱っているバングス&オルフソンである。バングス&オルフソンは日本で買うとべらぼうに高い。私はポータブルのCDプレイヤーを持っているが、これは伊勢丹で、16万円で購入したのである。退職金で買った。リモコンを買おうとしたら、リモコンが3万円でおののいたことがある。買わなかったことは言うまでもない。このバングス&オルフソンはデンマークの会社であり、当然、こちらの方が価格が安いだろうと思い、そしてもし相当、安かったら衝動買いしてしまう自分を抑えることができるのかなあ、と不安と期待を抱えて訪れたら、なんと日本より高かった!私のポータブルのCDプレイヤーが10000クローネ以上で売られていたのである。これは、20万円以上ということか。税金が戻ってくるといっても、16万円よりは確実に高い。店のお兄さんに、これは日本より高い、というと「いやいや、絶対4割は安い」と言い張る。「そんなこと言っても、俺は日本で買ったんだ」と言うと、「ふうん」と私を相手にしない。まあ、どうでもいいけど、私が買ったのは4年前なので、ユーロ高によって随分と円、すなわち日本人の購買力が弱くなっているのかもしれない。今なら、16万円ではもはや買えなくなっているのではないか。

と大いに物欲が萎えた私であるが、もう一つの特産品である陶磁器等を見に行く。まあ、陶磁器などはデンマークだけの特産品ではなく、北欧系ではあり、実は私が好きなのはコスタ・ボダでスウェーデンなのだが、日本よりは安いのではないか、と期待していったのである。そして、ストロイエ(コペンハーゲン一の繁華街。私がコペンハーゲンに来た最大の理由は、このストロイエを見るため。もう一つのブログをよければ参照)に入って1番最初の店ローゼンタール・スタジオ・ハウスに入る。こんな、繁華街にあるのだから、どうせ値段は高いだろうと見回す。アレッシィの商品が置いてある。アレッシィはイタリアじゃないか、と思いつつ値段を見て驚いた。確実に日本より安い。というか、アメリカよりも安い!これは買いだ!ということで数点、購入する。デンマークでイタリアもの、というのも矛盾しているが安いものは安い。ちなみに、後で入ったイルムスは遥かに高く、むしろ日本より高いくらいであった。ここらへんの価格設定はちょっと分からない。期待して、コスタ・ボダを見にいくと、やはり日本よりかは安い。2割くらいは安いのではないか。これで、後で税金を戻してもらえれば相当安い。ということで、ちょっと値は張ったがそれでも買ってしまった。まあ、スウェーデンで買えば、さらに安くなるかもしれないが、行く予定はまったくないからね。

そして、その後、イルムス・ボーリフスという、これまたストロイエにある家具・雑貨デパートを訪れる。この店には圧倒された。ヤマギワのようなデパートなのだが、なぜかヤマギワより遥かに物欲が刺激される。デザインがいいランプや家具が、比較的ゾンザイにあちらこちらに置かれており、あれも欲しい、これも欲しいという物欲がふつふつと沸き上がり、ああ金があればと思わされる。椅子なんか、相当よくて、もう購入したい気持ちが抑えられなくなりそうだが、どうやって持っていくのかという突っ込みを自ら入れて気持ちを鎮める。とはいえ、ここらへんの値段はヤマギワともそれほど変わらないと思われる。しょうがなく、陶磁器を見に行くと、先日西武デパートで「たっけえなあ」と思いつつ購入したゆで卵置きが、なんと50クローネで売っていた。なんと5割以上安い!税金入れたらもっと安いじゃないか!この西武デパートにぼったくられていたという事実に気づき、腹が立ち、これがそうでなくてもふつふつと沸いていた物欲に火をつけた。ということで、イッタラのマグカップを5点、皿を4点購入する。しかし、よく考えるとこれらはどうも日本より多少は安いかもしれないが、税金が戻ってくる分くらいであることに購買した後、気づく。重い割れ物を購入するほどの意味があったのだろうか。甚だ疑問である。しかも、このイルムス・ボーリフスは先ほどの店に比べると、少なくともアレッシイの品物は遥かに高かった。どうもデパートであるということと、1点ほど日本より安いものがあっただけで、ちょっと理性を失ってしまったようである。同じように決して安くないイッタラの製品をたくさん購入していた日本人の女性がいたので、まあ他人も似たように理性を失ってしまう場合があるのだな、と少しだけ自分を慰める。とはいえ、これから日本に重い壊れ物を運ぶことを考えるとぞっとする。しかも、イッタラの生産国であるフィンランドではなく、デンマークでやってしまったことが情けない。絶対に税金を取り戻さなくては!

しかし、私の物欲はともかく、北欧やヨーロッパの物価の高さは何なのだろう。1995年にフィンランドに滞在した時は、ホームレス・シェルターに宿泊していたこともあり宿泊代が無料であったこともあるが、特にそれほどは物価が高いとは思わなかった。ただし、スーパーに置いてある果物が数点しかなかったことは印象に残っているが。今回はフィンランドではなくデンマークではあるが、ちょっとこの物価の高さは驚きである。ドイツも高いが、ドイツよりも遥かに高い。もちろん、対日本ということでは、日本が低金利政策を10年間も続けていたことが要因ではあるが、さて、それではこれからどうなるのか。今後もこの物価の差は日本と広がっていくのだろうか。もし、このトレンドが続くなら、せっせと円でユーロを購入して、トヨタやホンダの株を買うべきであろう。この為替レートでは、トヨタの車は極めてお買い得である。性能ははっきりいってドイツ車を上回っており、負けているのはイメージだけだ。イメージなどは長期的にみれば、それなりの正しい評価を受けるので、円安が今の状況を維持、もしくはさらに続くならもう日本の製造業は万々歳であろう。逆に、石油は高くなり、航空会社や電力会社の株は買わない方がいいだろう。しかし、この歪みはいずれ是正されると考えるなら、今のうちに円を貯めておく方がいいことになる。どちらなのだろうか?そして、我々はそのうち海外旅行が60年代の時のように高嶺の花になる時代を迎えるかもしれない。学生やリタイアの人々がそうそう海外へ旅行できることも難しくなるかもしれないなあ。少なくともヨーロッパは遠くなりそうな気がする。そういえば、1990年くらいの時にイギリスを訪れた時、日本より高いものを探すのに苦労した。実家に居候しているイギリス人に聞いても、ほとんどすべてのものが日本の方が高いと言っていた。特にコーヒーが一杯800円する喫茶店があることを冗談にしていた。しかし、イギリスではないが、このホテルはミネラル・ウォーターが900円である。時代が変わるのは速い。とはいえ、低金利政策をやめれば、この格差はそのうち縮まっていく。さあ、将来はどうなっていくのであろうか?



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