ラスト・ブラックマン・イン・サンフランシスコ [映画批評]
ジョー・タルボットのデビュー作。2019年に発表され、サンダンス映画祭で最優秀監督賞を受賞している。映画はサンフランシスコのハンターズ・ポイントに住むアフリカ系アメリカ人が、ミッション地区の瀟洒な家族が元住んでいた家に移り住もうとする話である。ジェントリフィケーションが進み、低所得者層がどんどんと追いやられる背景が、メランコリーに描かれていて、沈鬱な気分にさせられる。出口が見えない状況が続き、将来への希望は一切描写されない。そのような中、映像はとても美しく、結果、絶望的な内容であるにも関わらず、後味は悪くはないが、どうもそれは「滅びの美」のようなものかもしれないな、と思ったりもする。ジェントリフィケーションやジョージ・フロイド事件の背景を知るうえでは参考になる映画であるとも思われる。
The Last Black Man in San Francisco [DVD]
- 出版社/メーカー: Lions Gate
- 発売日: 2019/08/27
- メディア: DVD