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『ハロルドとモード』 [映画批評]

荒唐無稽のシナリオの映画。1971年に公開された時は人気がなかったそうだが、その後、カルト的人気を博し、現時点ではDVD等もリリースされている。10代の青年が79歳のおばあさんと恋して、結婚するというストーリーは面白いといえば面白いが、個人的にはそれほど話には引き込まれなかった。ちょっと非現実的過ぎるでしょう、と突っ込む自分がいるのだ。と記して、私のドイツ人の40代後半の友人の母親が自分より若い男性と再婚したと当惑して話をしたことを思い出した。まあ、世の中にはいろいろなことがあるし、これが男女逆だと比較的、よく聞く話だ(大抵、男性側が金持ちであることが残念であるが)。とはいえなあ、まあ常識に囚われなくて自由人のおばあさんは魅力的かもしれないが、そこで恋に堕ちるかあ・・・というところで個人的にどうも腑に落ちないので評価はちょっと今ひとつです。ギャグも面白いとそれほど思えなかったし。


ハロルドとモード/少年は虹を渡る [DVD]

ハロルドとモード/少年は虹を渡る [DVD]

  • 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
  • 発売日: 2012/03/09
  • メディア: DVD



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『プライベート・ライアン』 [映画批評]

今更ながら『プライベート・ライアン』を観た。1998年に公開されたトム・ハンクス主演、スピルバーグ監督の戦争映画である。映画冒頭の戦場のシーンは、生々しく、戦争を知らない世代にも、そのむごたらしさ、冷徹かつ非合理な悲惨さ、が伝わるように描かれている。戦争をしない国民であることの有り難さが分かるような戦場の理不尽な残酷さを見事に表現している。この冒頭シーンだけでなく、戦争がいかにヒューマニティから縁遠いところにあるかを描ききっている。この映画の優れたところは、人間の弱さ、そしてその弱さに人間の希望というか救いのようなものを感じることである。戦争という狂気から、人間を回避させるのは、この弱さを愛おしみ、大切に感じられる気持ちを共有させることではないだろうか。憲法改正とか議論する政治家の話を聞く前に、まずはこの映画を観ることをお勧めしたい。


プライベート・ライアン [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: パラマウント
  • 発売日: 2019/04/24
  • メディア: Blu-ray





プライベート・ライアン (1枚組)[AmazonDVDコレクション]

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  • 出版社/メーカー: パラマウント
  • 発売日: 2018/03/20
  • メディア: DVD



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人口減少や少子化・高齢化といった問題を自治体だけで対応しようとしても無理であろう [サステイナブルな問題]

現在、京都大学の教授をしている広井良典氏が2010年に自治体を対象として実施した
「地域再生・活性化に関する全国自治体アンケート」で「現在直面している政策課題で特に優先度が高いと考えられるものは何か」という質問をしているのだが、その回答の一位は「少子化・高齢化の進行」であり、二位が「人口減少や若者の流出」であった(広井良典『人口減少社会のデザイン』、東洋経済出版社)。
 これらの課題は深刻ではあるが、これは自治体が政策的に対応してどうにかなるものではない。地球温暖化に一自治体で対応することよりかは何かしら手立てがあるかもしれないが、ほとんど焼け石に水であろう。というのも、このような問題が生じているのは、その自治体に原因がある訳ではなく、全国いや全世界的な現象であるからだ。そういう意味では地球温暖化とも共通点はあるかもしれない。
 それは10歳の子供が家計を心配しているような、なんかズレを感じてしまう。というのも、このような現象が生じている一番の要因は、中央政府そして自民党政権がそのような大都市(特に東京)を極端に優遇するような政策を推進してきたからであり、それに抗うのはゴリアスに素手で挑むようなものである。それは政策ではなく、政治で対応しなくてはならない、それなのに、そもそも地元に基盤はあっても、東京で生まれて東京で育って東京で暮らしている政治家が地元視点での政治ができる訳ないのに、そういう人達にずっと投票をしてきたことに問題がある。ここらへんから変えないと、一地方自治体が政策で対応しようとしても無理だ。それは、癌を手術ではなくて薬だけで処方しようとするようなものだ。しかも、薬ほとんど揃えがないし。
 このようなマクロの問題に対処療法的に対応するような愚はやめて、もっと、その自治体が100年後にどのようになっていきたいのか、といったような将来構想を地元で共有できるような動きをすることの方がずっと効果はあると思われる。それによって、未来をその自治体でつくっていこう、という気持ちにもなる。私が幾つか訪れた自治体でも、長門市(山口県)とか尾道市(広島県)、金沢市、弘前市、神山町などではそのような動きの鼓動を感じることができる。
 特にコロナウィルス禍の中では、それまで大都市の優位性の根源であった集積の経済が必ずしもプラスとして働かなくなっている。自分の自治体の存在意義、アイデンティティといったものを考えることの方が、「少子化・高齢化の進行」や「人口減少や若者の流出」といった課題に小手先で対応しようとすることよりずっと効果があると思われる。

人口減少社会のデザイン

人口減少社会のデザイン

  • 作者: 広井 良典
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2019/09/20
  • メディア: Kindle版



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コンテイジョン [映画批評]

私のゼミ生がこの映画がいいと勧めたのでアマゾンで早速、注文して鑑賞したのだが、いやはや緊張感溢れた内容に加え、パンデミックの危機をリアリティ溢れた描写をしていて大いに楽しめた。まるでコロナウィルスの危機を予見したかのような内容には、ちょっと衝撃さえ覚える。というか、しっかりとパンデミックをシミュレーションすると、こういう事態になることが予見できるということであろうか。コロナウィルスを体験した我々からすると、そのシミュレーションの際だった秀逸さが理解できるともいえよう。また、直接的には交錯しないのだが、CDCの医師達、WHOの研究員、陰謀説をSNSで流すフリージャーナリスト、妻と息子をウィルスで失った男性という四つの視点からパンデミックの進展を描いていることで、視聴者は4つの多角的な視座によって状況を俯瞰することができる。それゆえに、画面にぐいぐいと引き込まれて、目が離せない。まったく集中力を途切らすことなく一挙に最後まで観ることができた。CDCのケイト・ウィンスレット演じる若手研究者が感染源を突き止めても、政治的な理由から都市封鎖ができず、無念を抱えたままウィルスに感染して亡くなってしまうことや、ジュード・ロウ演じるフリー・ジャーナリストがSNSを駆使して世論形成に成功すること、さらには人々が買い溜めに走り、暴動するところなど、今のコロナウィルスの状況そっくりである。リアリティ溢れた描写、と前述したが、現在のコロナウィルスの件でCNNの番組に出まくっているグプタ博士がカメオ的に出演していることにはちょっと個人的に受けた。というか、コロナウィルスのパンデミックを経験した我々としては、2011年につくられた作品であるにも関わらず、まるで今の状況を報道しているのではないか、という錯角さえ覚えさせる。コロナウィルスと共生していかなくてはならなくなった人類必見の映画であると思う。エンタテインメントを越えた良質な映画である。

コンテイジョン [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • 発売日: 2012/09/05
  • メディア: DVD




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  • 発売日: 2012/09/05
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テレワークの可能性と課題 [サステイナブルな問題]

2020年6月5日の東京新聞に、職業別のテレワークに関する実施率の調査結果が示されていた。パーソル総合研究所が実施した「新型コロナウィルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」(4月10日~12日)をまとめたものである。さて、それで実施率が50%以上の職業は上から「WEBクリエイティブ職」(64%)、「コンサルタント」、「企画・マーケティング」、「IT系技術職」、「広報・宣伝・編修」となっている。逆に10%に満たないのは下から「福祉系専門職」(2.2%)、「ドライバー」、「製造(組み立て加工)」、「建築・土木系技術職」、「飲食の接客・サービス系職種」、「理美容師」、「幼稚園教諭・保育士」、「医療系専門職」、「飲食以外の接客・サービス系職種」、「警備・清掃・ビル管理」、「販売職」となっている。
 コンピュータを相手に仕事をする職業ほどテレワークに移行しやすいことが分かる。とはいえ、それでも最大の職業でも3分の2ほどがテレワークで仕事をしているだけで、残りの3分の1はテレワークではなく仕事をしている。一方でテレワークの割合が低いものは、そりゃ、そうだと納得するような仕事がほとんどだ。人を対象とする仕事、もしくは場所(現場)に縛られる仕事(建築・土木、移動はするがドライバー)でテレワークをしている人は管理職のような人だけであろう。
 筆者は大学教員であるので、ほとんどテレワークである。テレワークをしはじめて、いろいろと気づいたことがある。まず、生活のリズムを維持することが大変であるということだ。あと、これは大学がオンライン講義にシフトすることを決めた時点で即、覚悟したことであるが、その準備は猛烈に忙しい。オンライン講義が開始してから、ほとんど土曜日と日曜日も仕事をしているような状況になっている。そりゃ、そうだ。90分の講義を録画しなくてはならないけど、一発でうまく録画できる訳がない。そもそも、途中で休みを入れないのはこの年だと無理に近い。疲れた時に録画作業をすると、噛みまくって何回も録画をする。それで、アップする前に再確認で見ると、結構、失言なども少なくなく、納得できず再録画をしたりもする。その結果、明け方まで仕事をしたりする場合も少なくない。同僚の若い先生はそのまま徹夜をしたりもするらしいが、私はとても無理なので明け方に眠って昼に起きるような生活になったりする。無理に起きると、昼食後に猛烈な睡魔が起きて、家ということもあって寝てしまう。結果、もういつでも時差のような状況になってしまう。
 個人的には、これが一番の課題であるのだが、このアンケート調査ではテレワークの課題も尋ねていて興味深い。それを多い順で紹介すると、「運動不足を感じる」(74%)、「テレワークでできない仕事がある」(60%)、「プリンターなど必要機器がない」(48%)、「仕事に集中できない」(44%)、「業務上の指示ややりとりに支障がある」(39%)、「会議が減ってさびしさを感じる」(37%)となっている。
 「生活のリズムが崩れている」という回答はないが、これは単に選択肢のなかっただけかもしれない。ここで挙げた課題で私も同意するのは「運動不足」と「仕事に集中できない」の二つである。「運動不足」は本当、相当気をつけないと大きな問題となる。私は幸い、自宅のそばに緑道があり、また1キロメートル以内に駒沢公園という広大な都立公園があるので、1日に5キロメートルぐらい散歩をするようにしているが、このような散歩環境がないと結構、ストレスは溜まるであろう。コロナ禍では、これら緑のインフラが生活環境内にあることの重要性を再確認する。もう一つの「仕事に集中できない」のは、自宅での作業の問題点であろう。誰も監視せず、周辺には気が散るものに溢れている。というか、コンピューターもユーチューブとかが私の集中力を大いに妨げる。いや、単に意志が弱いというだけなのかもしれないが、この自分の怠け心に打ち勝って仕事に集中出来る人がどのくらい、この世の中にいるのか。私はちょっと相当、少ないのではないだろうか、と思っている。
コロナウィルスは、現在は落ち着きつつあるが、また県外にまたがる移動を許可したということで、これからも収束するのは難しいと思われる。おそらく、コロナウィルスとは共生していくことになるかと思うが、そうすると、このテレワークで仕事をするスタイルは、緊急避難的な意味合いではなく、ある程度、対応できる職業を中心に普及していくのではないだろうか。そのための課題なども、このアンケートは浮き彫りにしており興味深い。

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ラスト・ブラックマン・イン・サンフランシスコ [映画批評]

ジョー・タルボットのデビュー作。2019年に発表され、サンダンス映画祭で最優秀監督賞を受賞している。映画はサンフランシスコのハンターズ・ポイントに住むアフリカ系アメリカ人が、ミッション地区の瀟洒な家族が元住んでいた家に移り住もうとする話である。ジェントリフィケーションが進み、低所得者層がどんどんと追いやられる背景が、メランコリーに描かれていて、沈鬱な気分にさせられる。出口が見えない状況が続き、将来への希望は一切描写されない。そのような中、映像はとても美しく、結果、絶望的な内容であるにも関わらず、後味は悪くはないが、どうもそれは「滅びの美」のようなものかもしれないな、と思ったりもする。ジェントリフィケーションやジョージ・フロイド事件の背景を知るうえでは参考になる映画であるとも思われる。


The Last Black Man in San Francisco [DVD]

The Last Black Man in San Francisco [DVD]

  • 出版社/メーカー: Lions Gate
  • 発売日: 2019/08/27
  • メディア: DVD



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伊藤詩織さんの事件を考える [その他]

ジャーナリストの伊藤詩織さんが元TBS記者の山口氏から性行為を強要されたことで訴え、刑事事件では政権に極めて近い関係にある山口氏(奥さんがアッキーと同級生)を検察は嫌疑不十分として起訴を取り下げる。しかし、それで諦めなかった伊藤さんは民事裁判で訴え、2019年12月に東京地裁で開かれた民事裁判で勝訴した。ちなみに山口氏は控訴している。
 この事件の事実は、どうであったのかは私にはよく分からない。伊藤さんの訴えを聞いた高輪警察署の人達が調べた結果、山口氏は極めてクロであったという報道からすれば、また、訴えることのリスクを敢えておかしてまで伊藤さんが正義を求めたということを鑑みれば、まあ山口氏はクロなんだろうなとは思う。しかし、まあ、そこは正直、私にはよく分からない。とはいえ、山口氏の弁明する場に伊藤さんが気丈にも同席して彼を見据えていたことを考えると、まあクロであろう。潔く謝罪して、罪の責任を取ってもらえればと思うが、彼の失うものの大きさを考えると、まあジタバタするのも分からないでもない。そして、そう思いつつ、100%山口氏がクロだろうとは判断できない自分もいる。世の中、何が真実かはなかなか分からないからだ。
 さて、伊藤さんが本日、Twitterに投稿されたイラストなどが名誉毀損に当たるとして、漫画家のはすみとしこらに損害賠償を求め、東京地裁に提訴した。このイラストは、まさに伊藤さんそっくりの女性を侮辱する内容のもので、本人ではなく私が見ても非常に不愉快を感じるものである。はすみ氏は伊藤さんではない、と主張しているが、誰がどう見ても伊藤さんそのものである。というか、はすみ氏は画力があるのだ。彼女の底が抜けたように意地が悪い意図は明らかであり、こういう人の傷に辛子を塗りたがるような行為は、犯罪であることは100%明白であり、厳しく処分してもらいたい。もちろん、彼女は「言論の自由」などと主張するだろうが、シリア難民への極めて無礼なイラストとともに、その行為は「言論の自由」をむしろ危機にもたらすような裏切り行為であると思う。
 山口氏の行為は密室なので、私は、100%確信はもてないが、はすみとしこ氏の行為はまさに白日のもとに晒された、というかツィッターで拡散されていて明々白々の事実である。そして、それは犯罪的ではなく、犯罪そのものである。こういう行為を野放しにしておくことこそ、「言論の自由」への挑戦である。「言論の自由」とは、嘘をつく自由でもないし、根拠なく人を貶められる自由ではない筈だ。

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麻生副首相は外国人が「絶句した」理由をはき違えている [グローバルな問題]

日本は欧米に比べるとコロナウィルスでの死者数が少ない。その点で、外国から電話で問い合わせがあったとき、「『おたくとうちの国とは国民の民度のレベルが違うんだ』って言ってやると、みんな絶句して黙る」と6月4日の参院財政金融委員会で述べた。さて、ここでこれを聴いた人が絶句するのは、開いた口がふさがらないだけであって、日本の民度のすごさに感心して絶句している訳ではない。しかし、麻生副首相は後者だと思っているから、こんな発言しちゃうんだろう。
 ある意味で、相手が呆れきっても、自分の都合のよいように解釈できる大した強者で、ちょっと羨ましささえ覚える。通常の組織であれば、とても上にいけないように思われるが、むしろこの超絶なる鈍感力、はき違え力が、総理にまで上り詰めさせ、また、あれだけ失態を続けて、失言を重ねても副総理にいられる理由かもしれない。とはいえ、みんなが麻生さんのように振る舞い始めたら、本当に嫌な社会になりそうで憂鬱になる。

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