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介護男性の母親絞殺事件は他人事ではない [サステイナブルな問題]

今年の5月、69歳の男性が91歳の実母を殺したということで逮捕され、その判決が11月に出た(下記の朝日新聞デジタル記事を参照)。

https://digital.asahi.com/articles/ASRCX66BXRCXPIHB01G.html?linkType=article&id=ASRCX66BXRCXPIHB01G&ref=weekly_mail_top_20231201

この男性は奥様に先立たれ、さらには親族からもお金の無心が継続的にあり、公務員をしていたこともあり貯金はあったのだが、ほぼ親族を経済的に支えていくうちに貯金は取り崩され、孤独と不安とから、介護の限界を感じて母親に手をかけてしまったそうだ。母親は認知症のレベル2であったそうだ。

私も認知症のレベル2の母親がいる。したがって、こういう記事を読むといたたまれなくなる。私の場合は、母親を介護施設に入居させることができたので、この男性のように追い込まれることはない。介護施設は本人だけでなく、家族もしっかりとサポートできる素晴らしい制度だと思う。日本が誇れるような制度だな、と諸外国を訪れても思う。ただ、私がこのような制度を利用できたのは、月額20万円近い介護施設の家賃を負担できているからだ。そして、なぜそれが可能かというと、母親がぼろではあるがアパートを持っていたので、どうにか家賃と年金を足し合わせると、それほど貯金を取り崩さなくても済むからだ。

この男性は親族からの無心がなければ、このような介護施設に母親を入居させることも可能だったかもしれないが、結局、親族を援助してしまったがために追い込まれた。そして、私も母親に手をかけるかどうかは別としても、この男性のように介護をずっとしていたら、そして連れ合いに先立たれたりしたら、相当、追い込まれてしまうだろうな、というのは想像できる。私とかは親族から無心があっても断るであろうから、この男性は優しい人であったのだろう。優しさ故に母親に手をかけることになったとしたら、本当にやるせない。

この男性を批判するのは簡単である。しかし、警察庁の統計によると2018〜2022年の5年間で検挙された殺人罪のうち「介護・看病疲れ」が動機であったのは約4%の165件だそうだ。そして、加害者は息子が38%で被害者は女性が75%。被害者の3割が要介護1であったそうだので、本当、これは深刻な社会問題である。この男性が、感情のコントロールができない身勝手な人とは私はとうてい思えない。要介護2で認知症の母親を抱える子どもの負担は極めて大きなものがあると思う。介護施設にアクセスできなかったら、本当、人生を棒に振るようなことにさえなりかねない。と書きつつ、私もそう遠くないうちに、そちら側に行くことになるので、しっかりとそのような施設に入れるだけの貯金をしなくてはいけないとも思わせられる。家族を犯罪者にさせないためにも、老いる負担を自分で責任取れるように、可能な限り、努めることが定年を迎える年代の我々が意識しなくてはならないことかと思う

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