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『エブリシング・エブリホエア・オール・アット・ワンス』 [映画批評]

2022年の製作のハリウッド映画で、今年のグラミー賞を総ナメした『エブリシング・エブリホエア・オール・アット・ワンス』を観た。パラレル・ワールドのストーリーで、プロットは比較的興味深いが、その世界観はマトリックスには遠く及ばず、ジョジョの不思議な冒険の第七部「スティール・ボール・ラン」の方が迫力があった。ただ、この映画はグラミー賞の主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞をとるだけあって、俳優の演技はよくて、それが、この荒唐無稽なシナリオを救っている。
しかし、このSF映画がハリウッドでこれだけ評価されたのは、ハリウッド映画の近年のストーリー・テリングの貧相さを示唆していると考えられる。というのは、日本人は、この程度のストーリーではワクワクしないぐらい、「ジョジョの不思議な冒険」に始まり、「20世紀少年」、「サイボーグ009」、「鉄腕アトム」など極めて物語性の高いSFに小さい時から親しんでいるからである。私が小学生の時、「スターワーズ」のブームが起きたが、私はウルトラマン・シリーズの方がはるかに格好よく、宇宙人も洗練されていると思ったものである。その気持ちは今も変わらない。もちろん、ハリウッドのSF映画でも「ブラジル」や「ブレード・ランナー」などは大好きではあるが、総じて、日本の方がはるかに刺激的な作品が多いと思う。そういうのが日本のアニメが世界のオタクに受けいれられている背景にあるのかと思うが、エブエブはそういう素養の浅いアメリカ人には受けても、日本人にはそんなに受けないのじゃないかな、と思わせる。

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