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リスボンのサンタ・ジュスタのエレベーター [都市デザイン]

リスボンに学会で来ている。開会式のキーノート・スピーチに律儀に参加しようと9時に会場に向かうと、キーノート・スピーチは違うキャンパスでやるそうだ。どうも、地下鉄で30分ほどかかるようなので、何か面倒臭くなり、天気が凄まじくよかったこともあり、リスボンの市内巡りに行ってしまった。結局、いつも通りの行動パターンだ。
 さて、最初は何しろ、エレベーターを押さえなくては、ということでいそいそとサンタ・ジュスタのエレベーターに向かう。サンタ・ジュスタのエレベーターはジャイメ・レルネルさんの著書『都市の鍼治療』にて紹介されている。私はこの本を訳したので、その時から大変興味を持っている。ということは、12年間ぐらいは興味を持っており、いつか来たいと思っていたということだ。
 このエレベーターはバイシャ地区の低地とバイロ・アルトの高台とを繋ぐために1900年から工事が始まり、1902年に完成した。エッフェル塔の設計メンバーの一人でもあったメスニエールによってつくられた。それは45メートルの高さで、できた当時は驚きの技術の結晶であったのだろう。観光名所として多くの人を惹きつけることになる。
 今でこそ、エレベーターなどあまりにも日常的で、ちょっと高い建物ならほとんどついているような代物であるが、よく考えると、それが登場した時には驚きの交通施設であるということに気づかされる。このエレベーターに乗るのに15分間ぐらい待たされた。15分も待たされても乗るというのは、もうほとんど観光客しか利用しなくなってしまった、ということであろう。というか、これは有料である。5€ちょっと取られた。48メートルの高度を得るために日常生活で5€払う人はほとんどいないから、これはもう100%観光客向けなのかもしれない。
 さて、しかし、このエレベーター、ランドマークとしてはなかなかのものである。エレベーターの丘側の乗り場の上は展望台になっており、そこからはバイシャ地区の町並みだけでなく、そのスカイラインを縁取る城、それからテージョ川、そしてその対岸のアルマーダまでをも展望することができる。なかなかの絶景である。
 東京のように高いタワーがないので、ここからの展望は特別な意味があるのだろう。この光景を観るために観光客が15分待って5€払うというのは理解できる気がする(展望台に入るためにも搭乗券が必要なのだ)。
 7つの坂の都市と言われるリスボンだが、そのリスボンにふさわしいユニークなランドマークである。
 
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(バイシャ地区からみたエレベーター)

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(中は相当、レトロである)

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(上の駅からは素晴らしいリスボンの展望を得ることができる)
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