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ジャイメ・レルネル氏との会話 [クリチバ]

 今回、クリチバを訪れている大きな理由は、クリチバ市民を対象としたアンケート調査を実施するためであるが、クリチバが私を引き寄せているのは元市長であるジャイメ・レルネル氏と会うためである。今回も彼と会うことができ、短い時間ではあったが極めて有意義な会話をすることができた。ここに差し障りのない範囲で、彼の発言を披露したい(会話をしたのは2016年8月18日)

■ 映画について
 25年間、映画監督が私のことを撮影してきたのだが、作品が完成し、ようやく9月に公開される。サンパウロ、クリチバ、リオで公開予定である。そのテーマは「夢」。映像に解説がついただけというちょっと特殊な映画である。私はこの映画に流す曲も作った。二曲ほどつくったのだが、大変楽しい経験であった。
 この映画は「夢」に関するものである。オスカー・ニーマイヤー、中村ひとし、フランシス・コップラも出てくる。フランシス・コップラとは友人である。彼のカリフォルニアの家にもよく遊びに行った。

■ ブラジリアについて
 ブラジリアはある特定の時期につくられた。パイロット・プラン(プラーノ・ピロート)の一部は素場らしい。パイロット・プラン以外は、まったく計画されていないこともあって悲惨である。特に働く場所がパイロット・プランに集中したので、通勤交通は混乱状態にある。交通に関しては出鱈目である。郊外をパイロット・プランと同じようにしようとしていることが問題である。普通の都市のような郊外をつくるべきである。

■ クリチバの道路舗装について
(花通りの写真で、その道路舗装をみながら)300年以上前からこのような舗装をしている。このデザインはポルトガルに由来している。しかし、最近ではこのような舗装をしなくなっている。大変、もったいないことだ。

■ 最近の関心ごと
 椅子のデザインをしている。また、新しい車をデザインしている。これらは、綿イズの人生の新しいプログラムである。ところで君は以前、会った時より若くなったな(おそらく髭を剃ったからだと思われる)。私は現在78歳であるが、すごく快調で若くなった気分である。まるで77歳の時のようだ。25キロも減量していた。よく食べているが、適度に食べている。
 先週、70年来の友人を失った。ジュカという名前なのだが79歳で亡くなってしまった。
 リオのオリンピックのオープニング・セレモニーは素場らしかった。金を使わなかったところが大変、評価できる。

■ 都市について
 都市は常に楽観主義者のものであって、悲観主義者のものではない。

■ ポルト・アレグレのプロジェクトについて
 プロジェクトはウォーターフロントのもので、いかにウォーターフロントに人を再び集めるかというのが課題である。そこに公園と倉庫のリノベーションを行おうと考えている。

■ 交通について
 いつでも、私は新しいプロジェクトを創造しようとしている。公共交通をデザインしようとしているのだ。
 我々(レルネルさんと中村ひとしさん)はビューロクラシーが嫌いである。人々は洗練されたモビリティに乗りたがっている。
 現在、多くの人が将来に見出そうとしているのは、自動運転の自動車であったりするが、それが現行の自動車と同じように空間を占有してしまうのは同じである。
 基本は自動車に乗らなくてもいいような、乗っても距離が短くなれるような、そのような都市構造の創造である。これを、リオで実践しようと考えている。

■ その他
 人々は表面的(スーパーフィッシャル)にしか理解しようとしない。なぜ、それをしたのか。そこを知ることが重要である。多くの人は、何かを始めることをおそれる。とりあえず答えを知りたがるのである。しかし、答えはない。
 人々がなぜ、それをやらないのかと言い訳をしているのを聞いていると、私はとても悲しくなることがある。

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