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羅臼岳(日本百名山登頂20座) [日本百名山]

 3日間で日本百名山を3座挑戦する、という無謀に近い企画を実践したのだが、今日は最後の3座目である。1座目は雌阿寒岳、2座目は斜里岳、そして3座目は羅臼岳と、日にちが遅くなるほど厳しさは増してくる。私の持っている本によれば距離にして、3時間30分、5時間20分、7時間10分、累積標高差にして812メートル、1028メートル、1443メートル、ヒグマとの遭遇率にして、ほとんど会わない、ときたま会う、しょっちゅう会う、とどんどんとレベルが高くなっている。しかも、斜里岳の下りで私の弱点である左膝を痛めてしまった。万全の状態でも危ないのに、どうなるのか不安でしょうがない。
 さて、前泊したのは登山口の岩尾別温泉にある「地の涯(ちのはて)ホテル」である。ネーミング的にも、相当、レトロなログ風の宿を想定していたのだが、近代的な3階建ての宿泊施設でちょっと驚いた。私はおそらく25年ぐらい前にこの温泉に来たことがあり、表からも丸見えの露天風呂というおそろしく野趣溢れる環境に、決して高級感のしない宿が隣にあった(泊まってはいない)印象を持っていたからである。ちなみに、この野趣溢れる露天風呂に当時は、おそらくドイツ人と思われる若き男性達が入っており、その景観的インパクトが強烈に記憶に残っている。どうも、それからホテルは建て直しをしたらしい。ホテルに飾られていた昔の写真は2階建てで、もうちょっとこじんまりとしたものであったからである。私が見たホテルはこの昔のものであったのだろう。
 ホテルの温泉で朝風呂にも入り、二日間の筋肉の疲れを取り、スパッツ、膝サポーター、膝のテーピング、さらにはストックという4重の構えで望む。朝食のお弁当をホテルの部屋で取り、朝の6時50分頃に出発する。ヒグマ対策もあり、今回は調理道具をすべて置いていく。食事は乾物系のみである。これは、また荷の重さを少しでも軽減させたいという意図もあった。しかし、出発してちょっと歩いて膝に痛みを覚える。もうこれはあかん、と思い、同行している仲間に私を置いて言ってくれと伝えようとしたが、彼らに私のことで気を遣わせるのも抵抗があったので、我慢して行けるところまで行こうと決心する。
 登山ガイドでは、すぐに急坂、と書いてあったので相当、覚悟をしていたのだが、それほど急ではない坂を登っていく。これまで、大峰山や昨日の斜里岳のように、本当にきつい急坂を登ってきたので、これぐらいの坂だと急に覚えなくなってしまっているのかもしれない。40分ぐらい経つとオホーツク展望地。しかし、名称と異なり、ここではあまりオホーツクを展望できない。とはいえ、飛び抜けた晴天ということおあり、木々の合間から見えるオホーツクの青の美しさが疲れを飛ばしてくれる。海と空がグラデーションのように繋がっており、その境目が分からない。青という色のハーモニーの美しさは感動的だ。また、分厚いサポーターのおかげか、膝の痛みは消えないが、より痛くなるということはない。
 オホーツク展望地からはしばらく緩やかな平らが続く。弥三吉水という水場でちょっと休憩(8時30分)。冷たい水で顔の汗を拭う。また歩き始める。ここは極楽平とよばれる平坦のルートで、本当に楽である。平坦な道だと膝の痛みもちょっと忘れる。ピーカンの天気なので暑さはきついが、ときおり吹いてくる風によって癒される。極楽平の次は仙人坂。この坂はなかなかきついが、昨日の斜里岳に比べれば大したことはない。ただ、頭上に木の枝が覆い被さり、足下の石ころに気を取られていると頭をぶつけ、猛烈に痛い。背が高い人は、ここを抜けるのは相当、気を遣うであろう。さて、仙人坂を登り切ると銀冷水という水飲み場がある(10時到着)。命の泉のような美しい泉である。
 さて、銀冷水を過ぎると大沢という沢をのぼっていく。とはいっても水は流れていない。ただ、ここには雪渓が残っており、そのためにアイゼンを今回は持って来ている。初アイゼンかと緊張したが、雪渓の横にしっかりと登山道は確保されていたために、アイゼンは必要としなかった。雪渓を横切り、振り返るとオホーツク海が美しい。さて、羅臼平に近づくと斜面も緩やかとなり、右手には素場らしい高原植物のお花畑が広がる。
 そして羅臼平には11時頃に到着する。ここはまさに天上の楽園のような場所で、羅臼岳と三ツ峰山に囲まれながら、オホーツク海と太平洋が見渡せるという素場らしき一等地である。ここで昼食休みを30分ほど取り、フードロッカーに細かい荷物を預け、羅臼岳にチャレンジする。羅臼岳は優しいスロープの上にごつごつの岩の塊が乗っかっているような異様な形状をしている。12時頃に石清水を通り抜ける。ここから先は山登りというかはロック・クライビングのような状況になる。ストックを岩陰に隠して、両手を使って登っていく。途中で行き交った中年の男性が「これから山頂に行くの。風が強いよ」と言ったので、猛烈に反発心で燃え上がる。「あと30分ちょっとで山頂までなのに、これまで膝が痛いのを我慢してここまで来たのに帰れるか」と思うと、アドレナリンが出まくって、凄い勢いで登り始めた。ここは、相当の岩崖で高所恐怖症は怖じ気づくようなところで、私も軽度の高所恐怖症なので、何もなければ相当、怖がると思うのだが、このおじさんの言葉のお陰で、奮起した私はハイペースで登っていき、時折膝の痛みも感じたが、それにも打ち勝ち13時前には山頂に着いていた。山頂は岩だらけで、そのスペースも狭く、風も強かったが、そこからの360度の展望はすばらしい絶景であった。北には硫黄山をはじめとする知床連山と巨大なる雪渓、北東から東にかけては国後島の爺爺岳をはじめとした秀峰の雄姿、南は雲海と斜里岳などの山々、そして西はオホーツク海の眩いような青とその手前には知床五湖が広がっている。見飽きない絶景ではあったが、もう時間も遅いのと風も強いので13時15分には下山を始める。
 心に余裕があるのと、また下山は登りに比べると筋力的には優しいので、高山植物を愛でながら降りていく。小さく健気に咲く美しい花々を見られることは、登山の大きな魅力の一つであろう。行きには無視をした石清水も飲む。この石清水の美味しさといったら飛び切りのものがある。羅臼岳登山は水場が多くあるのも魅力だ。重い水を全ルート分、持ち運ぶのはなかなかの労苦である。石清水を発ち、羅臼平にて荷物を回収したのが14時30分。その後は、膝が爆発することがないように、ゆっくりと丁寧に下山をし、18時過ぎに登山口に戻る。理想的には2時間ほど前に戻ってくるべきであり、出発時間が遅かったことを反省する。とはいえ、よく登れたものである。もの凄い達成感を覚えつつ、今後の百名山挑戦に大きな励みとなる登山となった。私のこの登山につきあってくれている卒業生達に感謝をしつつ、今日はゆっくりと休む。
 
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(オホーツク展望地をちょっと行ったところからオホーツク海を展望する。空と海の境目が分からない)

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(弥三吉水で顔の汗を拭う)

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(銀冷水)

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(大沢の雪渓)

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(雪渓を通り過ぎた後、振り返るとオホーツク海が美しい)

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(羅臼平直前の緩やかな坂には高原植物のお花畑が満開で、疲れる気持ちを慰めてくれる)

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(羅臼平から望む羅臼岳。我々の挑戦を迎え撃つかのような圧迫感ある姿)

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(頂上はほとんど岩を積み重ねてできあがったかのよう)

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(硫黄山の知床連山の美しい山容が展望できるのも羅臼岳の魅力の一つであろう)

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(羅臼岳山頂)

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(登頂した証拠写真)

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(そのうち余裕ができたら、高山植物の勉強もしよう)

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(国後島の爺爺岳の雄姿もきれいに展望できた)

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(石清水はどんなミネラル・ウォーターよりも美味しく感じられた)
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