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首都高速の中央環状線が全線開通したので、その内側の首都高速は壊して、人間都市東京を復活すべきである [都市デザイン]

 首都高速の中央環状線が3月7日に全通した。これで、高速道路の山手線ともいう47キロの環状ルートが完成したのである。その式典で、舛添知事は、「首都圏にある3つの環状道路のうち最も内側の輪が完成します。オリンピック・パラリンピックまでに渋滞のない都市にしていきたい」と言ったそうである。馬鹿だな。東京のように人口が多くて、しかも人口密度が高い都市において、道路を整備することで渋滞を緩和することなど不可能である。道路が空けば空くほど、公共交通から自動車へモーダル・シフトが起きて、パンドラの箱を空けるような状態になってしまうであろう。欧米や韓国でさえ、脱自動車の流れにある中、なんでこんなことも分からないのであろう。現在、首都高速の渋滞箇所が四ツ木や大橋といった中央環状線ルートにあるのは、「道路をつくると渋滞が増える」という格言の通りである。まあ、舛添さんはこういう格言を知らないのだろうな。Building More Roads Only Causes More Traffic である。
(
http://www.fastcompany.com/1756746/building-more-roads-only-causes-more-trafficなど参照)

 まあ、それはともかく、この中央環状線が、都心への通過交通を削減させる効果が期待されるのは確かだ。
 世界都市で、都心を高速道路が東京のように走っているところはない。ロンドンはもちろんだが、ベルリンもそうである。パリもそうだ。ローマはちょっと都心に入り込んでいるが、しかし、都心で高速道路が繋がれてはいないので、通過交通は遮断できている。ソウルでさえ、都心部に走っていた高速道路を倒壊した。自動車大好きなアメリカでもニューヨークはマンハッタンでは高速道路は端っこを遠慮がちに通っているだけだし、サンフランシスコのように地震で倒壊された高速道路をつくり直さないで、不幸中の幸いのように枝線であれば壊してしまう都市もある。サンフランシスコも101連邦ハイウェイは市内に入ると、普通の信号のある道となる。そのように考えると、都心で首都高速のネットワークを有していて、通過交通を走らせている東京の状況は異常であるし、東京のアメニティを大きく劣化させている大きな要因であると思われる。ここは、中央環状線ができたことをきっかけに、是非とも、山手線の内側の首都高速道路は撤去してもらいたい。
 首藤高速道路は前回のオリンピックに合わせて計画され、整備されていった。急いでつくってしまったので、東京の代表的なランドマークである日本橋の上を通すといった、まさに愚行を強行してしまったのである。それは、経済優先、人間後回しの時代の産物であった。今、それから50年以上経って、再びオリンピックを開催するにあたって、前回のオリンピックの負のレガシーを撤去して、人間都市、そして世界を代表する都市である東京の魅力を再生させるためにも、山手線の内側の首都高速道路を撤去させてもらいたい。そういうことを議論する可能性を、中央環状線の全線開通は我々に提示してくれるのである。
 最近、国立競技場という前回の東京オリンピックのまったく負ではない遺産を壊した。そうであれば、明らかなる負の遺産である日本橋の上の首都高速道路を是非ともこの機会に撤去してもらえればと思う。そして、それは21世紀の都市として東京の格を大いに高めることに貢献するであろう。渋滞のない都市にしたい?もし、舛添知事が本気でそう考えるのであれば、道路を新たに整備するのではなく、自動車に乗らなくても生活できる都市をさらに促進すべきで、東京は既にそれだけの社会基盤を有しているのだ。これこそが東京の世界に冠たる素晴らしき財産であり、あとはこの財産を活かして、少なくとも山手線内は、ロンドンやニューヨークに負けない人間都市、歩行者優先の都市を整備するべきであろう。この人間都市となることを最も邪魔しているのは、桜田通りや246、中山道などや日本橋、古川、江戸川といった水の都、東京の素晴らしき河川の上部を蓋するように走る醜悪なる首都高速道路なのである。
 参考までに、私が考えている新たな首都高速道路ネットワーク図も以下、添付しておく。

imgposttokyoolympic.jpg
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