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『下北沢で生きる』 [都市デザイン]

 『下北沢で生きる』を下北沢のミニ・シアターであるトリウッドで鑑賞した。下北沢の道路問題を関係者に丁寧に取材をしてまとめられたドキュメント映画である。下北沢において、なんでこの理不尽だらけで、少なくとも「街」という観点からは合理性のかけらもない広幅員の道路が強行してつくられようとしているのか。それを知るうえで、一つのきっかけを提供してくれる。
 私が下北沢に関心をもつのは、下北沢という世界遺産レベルでのヒューマン・スケールでの繁華街を壊すことに猛反対していること以外に、この一見すると民主主義が機能していると思える日本では、何か行政側と市民側との利害が対立するような事業とかがあると、ほとんどの場合、市民は負けるということが浮き彫りにされているからである。
 この国には、民主主義的に問題を解決するシステムがないことが下北沢の道路問題を調べると浮かび上がってくる。民主主義は幻想であることは、沖縄問題や福島の原発問題でも浮き上がってくるが、それは非常に無責任な言い方をすると対岸の火事である。この自分に火の粉がかからなければいいや、というぬるま湯的な無責任さがふっとぶような臨場感のある危機意識、そして下北沢でも守ることのできない、この恐ろしいまでの市民無視の姿勢に、大袈裟でなく私は背筋が寒くなる。
 本当、国を捨てることを真剣に考えなくてはならないほど、日本が置かれている状況は不味い、ということをこの『下北沢で生きる』を観て、改めて認識する。この映画から、そこまで読み取るのは、まあ私を含めて少数ではあるとは思うが、道路反対派をまとめて区長になった保坂さんが、区長になる前は元気だったのに、区長になった途端、魂を抜かれたようになっていたのはちょっとショックである。この問題は本当に根が深い。
 この映画、実は私もちょこっと顔出しをしている。エンドロールにも名前が出ていたので、嬉し恥ずかしい気分になる。

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