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放射能と鼻血 [原発問題]

 放射能に被曝しても鼻血は出ることはないのか。国民的漫画ともいえる「美味しんぼ」の休刊が決定してしまったことは、「美味しんぼ」が読めなくなるということもそうだが、福島に住んでいない人達が勝手に偽善的に、福島に住むことは安全、福島でつくられた食べ物も安全という根拠のない「安全さ」を無責任に強要していることが「正義」として通っていることが本当に残念だ。
 さて私は、漫画は単行本でしか読まないのだが、流石に話題になっているので最新号を購入して、話題の「美味しんぼ」のストーリーを読んでみた。内容は、岐阜環境医学研究所長の松井英介先生、双葉町前町長の井戸川克隆さん、福島大学の荒木田先生への取材を踏まえたもので、私のこれまでの理解の範疇に収まるもので、なぜ、これが今更ながら問題になるかも分からなかった。
 しかも、この程度の「真実」は、福島にちょっと行けば分かる。川内村に行けば、除染作業をした後の土を入れた青いビニール袋がサッカー場のようなところに山積みされているのがあちらこちらで見える。川内村から原発のある峠道を行けば、すぐガイガーカウンターは2マイクロシーベルトを指す。
 これらの放射能が安全であるというのであれば、なぜ、事故以前は危険であると言っていたのであろうか。それを疑問に思うのは普通の感覚であろう。
 まあ、鼻血が問題なのかもしれない。ただし、東京新聞は2011年6月16日に次のような記事を掲載している。ここでは福島の医師の「放射線被害かどうかは判断できないが、ひとまず小児科で血液検査をして白血球を詳しくみてもらって。記録を残すことが大事」との発言を紹介している。放射能との因果関係は不明かもしれないが、鼻血が出ている子供達が多かったというのは紛れもない事実であると思う。そういう真実を隠蔽するのは「正義」でも何でもなく、福島の人達をそれこそ見捨てているのと同じではないか。ドメスティック・バイオレンスをされている子供がいて、それを近所に住むある人が世間に告発したら、ドメスティック・バイオレンスなど事実無根で、親に悪い噂が立って大変なことになる、謝罪しろと言われたようなものだ。そして、真実を述べたこの近所の人が弾劾される。
 なんか、日本という社会はこういう極めて偽善的でろくでもない方向に進んでいるように思われる。なんか、やわですわ。
 美味しんぼでは、「(元双葉町長の)井戸川さんの福島に住んではいけないと言う言葉、ご自身の体験を元に考えに考え抜いた言葉だと思う。だから嘘偽りなく重い。」「本当の勇気がなければ言えない言葉だ」との発言があるが、このような発言は本当の勇気、それは福島の人達を思う気持ちがあるからこそ出てくる言葉だと思われる。逆に風評被害とか言う人達の、無責任で耐え難いような軽薄さ。さらには、出版する機会を与えられているにも関わらず、平気で出版する前のゲラを環境省に提出するという気概の無い小学館。こういうことこそ人として恥ずかしいと私は思うのだが、この日本という社会では私も間違っていると捉えられ、そのうち弾劾されることになるのだろうか。本当、住みにくい国になったものだ。
 参考までだが、岡山大の津田敏秀教授(疫学、環境医学)は「チェルノブイリでも福島でも鼻血の訴えは多いことが知られています」「『低線量放射線と鼻血に因果関係はない』と言って批判をされる方には、『因果関係がない』という証明を出せと求めればいい」と「美味しんぼ」を擁護している。

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