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『ロイヤル・スキャム(幻想の摩天楼)』 [ロック音楽]

スティーリー・ダンの5枚目。前作から、バンドでの録音ではなく、スタジオ・ミュージシャンを起用してアルバムづくりをするようになったスティーリー・ダンだが、このアルバムではさらに豪華なるミュージシャンを起用している。ラリー・カールトンが4曲ほど演奏しているが、特にキッド・シャーレメンでのギター・ソロは彼のプレイの中でも傑出した素晴らしい出来であると思われる。他にもその後、イーグルスのメンバーとなるティモシー・シュミット、チャック・レイニーがベースを弾き、ドラムはバーナード・パーディーが叩き、コーラスはマイケル・マクドナルドなど、その贅沢さは凄まじいものがある。完璧主義はさらに前作よりも進化していたのである(しかし、エイジャが発表されて、これでもまだ序の口であるというのをその後、我々は知ることになる)。ラリー・カールトンが弾いていることもあるが、ギター・ソロがスティーリー・ダンのアルバムの中では最も目立つ。また、歌メロでも複雑なコードを頻繁に使い始めたのはこのアルバムからである(前作までは、イントロなどではコードが複雑になっていたが、歌メロのところは分かりやすいコードを用いていた)。飛び抜けてヒットした曲はないが、捨て曲がまったくない完成度の高いアルバムである。その後に発表されるエイジャ、ガウチョと聞き比べると、まだまだとの印象を受けるが、発表時においては、それまでのスティーリー・ダンの懐をさらに拡げたような傑作であると思われる。スティーリー・ダンの初めてのライブ・アルバム「アライブ・イン・アメリカ」で本アルバムから3曲も選ばれているのは、ライブ向きの曲であるということもあるかもしれないが、彼らがこのアルバムを気に入っているからではないかとも推察される。ただし、アルバム・デザインは「70年代でダントツに最悪である」と取材で述べている。
ちなみ、「ロイヤル・スキャム」は「高貴なる大ペテン」という意味であり、よく邦題を「幻想の摩天楼」にしたものだ。「高貴なる大ペテン」は、アルバム全体に通じるコンセプトであり、これは意図的であったらちょっと悪質な訳であると思う。それこそペテンだ。

Royal Scam

Royal Scam

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Mca
  • 発売日: 1999/11/23
  • メディア: CD



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