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カッセルのドキュメンタを訪れる [地域興し]

 カッセルのドキュメンタを訪れる。このドキュメンタは5年に1度の芸術祭で、街中で現代芸術が展示されている。これは、1955年に開始され、今回は13回目。最初は、連邦庭園展の一部として開始されたのだが、その後は、庭園展とは独立し、一貫してカッセルで行われるようになっている。このドキュメンタは、チューリッヒ芸術大学のシェンカー教授と話をした時、ナチスに洗脳されたドイツ人に、アメリカそしてイギリスなどの連邦側の芸術に親しませ、ナチスの文化的暗黒時代から解放させるという意図も込められていたと教えられた。いやはや、すごい戦略性があったイベントであったことを知るのと同時に芸術の力の凄まじさを知る。第一回目は、ピカソやカンジンスキーの作品が展示されていたそうで、いやはや、そのインパクトは相当のものがあったと思われる。このドキュメンタは100日間の展示と期間が限定されているが、一部は恒久的にそこに設置されるものもあるようだ。このドキュメンタはベニスのビエンナーレ、バーゼルのアート・バーゼル、ミュンスターの彫刻プロジェクトとともに四大世界芸術祭として位置づけられている。初回の訪問客は13万人だったが、毎年徐々に増えていき絵、12回目は75万人を越えるまでになった。そのうちの3分の1が外国人であったそうなので、凄まじい都市活性化プロジェクトである。その予算は25億円程度であるが、それらはカッセル市、ヘッセン州、そしてドイツ連邦政府から出されている。不足分は民間スポンサー、寄附、そしてチケットの売り上げによって賄われている。
 さて、13回目のドキュメンタであるが、300人のアーティストが参加したそうである。中央駅を中心にアートが展示されているが、特に連邦庭園展が開催された城公園において多くの作品が展示されていた。駆け足でみたが、一番、チケット代(20ユーロ)の元を取ったな、と個人的に思ったのは、通常の芸術作品が展示されていた美術館であった。確かに興味深い試みであるし、都市観光を活性化させるためにアートを用いる手法としても優れているとは思うが、芸術作品だけをみれば、ニューヨークの現代美術館や、パリのルーブル美術館、マドリッドのソフィア王妃美術館を訪れた方がずっと深い感銘を覚えると思われる。まあ、これは私が芸術鑑賞者としては初級者であるからかもしれないが、城庭園を含めても、この都市の最高の芸術作品は、18世紀初頭につくられたヘラクレス公園であると思ってしまった。

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(ヘラクレス公園からカッセル市を望む)

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(屋外展示)

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(室内展示もある)
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