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『インテリア』 [映画批評]

ウディ・アレンの作品の中でも、極めて重厚で暗い映画である。登場人物は三人姉妹の家族と、父親の愛人、そして神父ぐらいである。両手に数えるほどの少なさだ。そして音楽はほとんど流れない。全般的に暗いトーンの映像が続いていく。そして、このシンプルさが、テーマの重さを逆に際立たせ、観た後、深い感動を覚える作品である。ゆっくりと家族が崩壊していくプロセスがある意味で残酷に描かれているが、観ていて不快感を覚えることはない。それは通常、我々が直視することを避けている人間の本音をこの映画が描き出すことに成功しているからであろう。ウディ・アレンの作品としては異質かもしれないが、彼の名声をむしろ高めることに寄与する高質な作品であると思われる。

インテリア [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: DVD



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