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NHK『シリーズ原発危機』は、放射能の海洋汚染の洒落にならない現実を我々に教えてくれる [原発問題]

 NHK『シリーズ原発危機』をインターネットで観る。福島原発でいかに海が汚染されているかを報道している。驚くのは魚介類での放射能汚染に対して「野菜では全然、観られないほどの高い値」との研究者の発言である。そんなにも酷いのか。この報道では、20キロ圏での海洋の汚染実態を明らかにしていく。
 海の底に向けて放射能測定器を投入する。底に近づくと、放射能汚染は高くなっていく。海底の泥水に含まれる放射能は1キログラム当たり4500ベクレル。メバルは1キロ当たり2300ベクレルのセシウム。アイナメをはじめとして他の魚も似たように高い。また、この番組では東京海洋大学の石丸教授が植物連鎖の中で放射能が蓄積されていくプロセスを解説している。海底土と密接に関係する底魚の汚染は本当に深刻であることが、この番組からは理解できた。
 ただし、放射能が高い地区の範囲はほとんど福島原発のそばである。海において、放射能はそれほど潮流によって拡散されていなかったのだ。
 事故当時、原子力安全・保安院のスポークスマンであった西山氏は、「実質に海洋生物に取り込まれるまでには相当程度、薄まれていると思われます」と述べていたが、むしろ放射能は、大気ほど汚染は広がらず、基本的には福島原発を中心したところに濃密に堆積していることが分かる。しかし、海底でもホットスポットが生じている。常陸那珂沖では380ベクレルであったし、また銚子沖では昨年10月より、今年1月の方が放射能はより多く蓄積されていた。この銚子沖は、はるかに福島原発に近い高萩沖よりも現時点では高くなっている。驚いたことに東京湾にもホットスポットが出来ていることだ。これは荒川や江戸川河口のそばで800ベクレル(1キログラム)を越えている。葛西臨海公園のそばで水遊び(が出来るかどうかは知らないが)するのは相当、危険であると思われる。東大の鯉渕先生は、江戸川のどこかにセシウムが大量に蓄積しているところがあると推測して調査した結果、河口から8キロメートル地点にて1600ベクレル(1キログラム)以上が集積していることを突き止めた。これは金町辺りか。また、東京湾のセシウム量のピークはこれから2年後らしい。そして、それが減少始めるのは10年後くらいらしい。なんだ、東京湾の魚介類が食べられなくなるのは、これからじゃあないか。残念過ぎる。
 もちろん、東北の湖においても随分と汚染は進んでいる。群馬県の赤城大沼で取れるワカサギは1キログラム当たり650ベクレルであった。赤城大沼のプランクトンは350ベクレルである。しかし、プランクトンの寿命は数週間である。事故から9ヶ月経ってもこの数字。それは、赤城大沼の湖底に溜まっている泥のセシウムが1キログラム当たり950ベクレルと高く汚染されているからだ。赤城大沼からも川が流れているが、セシウムが大量に出るような流れではない。その結果、セシウムはずっと赤城大沼に閉鎖されたままになるのだ。このような湖が多くあるにもかかわらず、国の調査が行われていないということを考えるとゾッとする状況である。
 この番組では、事故から25年経った現在でもチェルノブイリの事故で放射能が降下した湖の調査がなされていることを報告している。その調査結果は、魚に堆積されるセシウムは、5年間は減っていくが、その後はほどんと減らないというものだ。「セシウムはひとたび生態系に入ると非常に厄介です。私達ができることは事実と真っ正面から向き合い、調査を根気よく続けることです」。ウクライナの研究者の言葉は重い。
「世界が経験したことのない汚染」。番組のナレーションの言葉を踏まえれば、大飯原発を再稼働させる前にすべきことが数多あることに気づくであろう。これらの事実から「真っ正面と向き合い」、しっかりと脱原発のパスを提示していくことが求められる。あと、この番組は素晴らしい。このウェブサイトから観ることができます。
http://nanohana.me/?p=11200

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