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東京外郭環状道路(外環道)の建設工事の再開 [道路整備事業の大罪]

 国土交通省は12日、凍結されていた東京外郭環状道路(外環道)の練馬—世田谷間の約16キロの建設工事を再開すると発表した。この区間が都市計画決定されたのは1966年。外環道の目的は、国交省の資料によれば「都心部からの放射道路を相互に連絡して、都心方向に集中する交通を分散するとともに、都心部の通過交通をバイパスさせる役割を担い、都心の渋滞緩和や環境の改善」を図ることにある。
 この外環道の総事業費は約1兆2800億円にのぼる見込みだ。渋滞効果が高いと期待されているが、ほぼ並行して走る環状8号線も、長年の渋滞要因であった鉄道との平面交差は、既に立体交差化が進み、一部では高速道路と見紛うような地下道路も整備されている。加えて、首都高速道路の中央環状線の整備も大橋ジャンクションから大井ジャンクションまでを残すのみとなり、これが完成された暁には、外環の必要性はさらに少なくなるだろう。そもそも東京という都市は、鉄道を中心とした公共交通が極めてよく整備されており、自動車の代替交通が充実している。道路をいたずらに増やすことは、せっかくの充実した公共交通事業の採算性の悪化をもたらす可能性も高く、二重投資へ繋がる。私が最近、翻訳した『世界が賞賛した日本の町の秘密』(チェスター・リーブス著、洋泉社)でも、アメリカ人の著者は自動車を利用しなくても移動手段を有する東京は交通面では「世界トップクラス」であると賞賛している。
 このように、今さら整備する必要性が低くなっている外環道だが、それでも整備するのであれば、都心を走る首都高速道路を撤去することを提案したい。東京の西側では山手線、そして東側では隅田川を境に、それより内側の都心部を走っている高速道路を撤去するのである。東京の都心のように日本橋や古川、江戸川といった極めて貴重な都市の公共空間が、高速道路によって占拠されている都市は欧州では極めて珍しい。オートバーンで知られるドイツでは、ベルリンをはじめとして、ほとんどの都市で高速道路を都心に通していない。大都市であるロンドンやパリ、アムステルダムもそうだ。自動車大国であるアメリカでも、ニューヨークのマンハッタンでは高速道路は川沿いに遠慮がちに走っている。ポートランドのように河川敷の上を走っていた高速道路を撤去した都市さえある。
 国土交通省の資料では、首都高速道路利用の23区通過交通約18万台のうち、約7万台が外環に転換すると見込んでいる。東京の貴重な都市資産を自動車ではなく人間に取り戻すためにも、高額の公共投資をするのであれば、首都高速道路というマイナスの都市資産を撤去することを是非とも検討してもらいたい。

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