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伊勢神宮の内宮前にあるおかげ横町というディズニーランド化現象に、私はむしろ肯定的な印象を持つ [都市デザイン]

伊勢神宮の内宮前にあるおかげ横町を訪れる。伊勢特有の妻入り建築が並ぶ通りは、伝統的な街並みかと錯覚するが、ほとんどが1993年以降につくられたものか移築されてきたものである。ニューメキシコ州のサンタフェでみられる多くのアドビ建築も、ほとんどが100年足らずのものだったりするが、ここはさらに短く20年にも満たない。

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(多くの観光客で賑わっている)

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(「くりもの細工」の店)

そういう点では、まさにここは街並みのディズニーランド化のようなものなのであるが、ちょっと調べると、そもそもディズニーランドのような民営が主体でつくられた空間であることを知る。管理運営は有限会社伊勢福。これは、あの赤福餅で有名な株式会社赤福の子会社である。そして、赤福社長であった濱田氏が約140億円を投資して、1993年にこの街並みをまさに作り上げたのだそうだ。

公共空間のようではあるが、民営がつくったまさに私的空間であることを知る。しかし、実際、利用している人はそのようなことを意識していないで、なんかお洒落な商店街だなと思っているぐらいであろう。

年間の集客数は約400万人。この数字は相当凄い。1970年代後半には20万人にまで落ち込んでいたそうなので、その復活ぶりは素晴らしい。

140億円の投資額は回収されているとのことだが、どうやって回収したのか、現時点では不明だ。また、公共の補助金も一切、入っていないそうだが、これはある意味で、公共的な空間の管理でさえ、民間の方が優れているということを示唆しているようで、なんか、私のような自治体サポーター的立場を取っているものにとっては複雑な気分にさせられる。

とはいえ、このような空間がつくられることは伊勢を訪れる人にとっては有り難いことである。例え、それが地域風土やアイデンティティのディズニーランド化現象であっても、私はむしろ肯定的な印象を抱いたのであった。役所に任せて、貴重な観光資源があるにも関わらず、そのトリックル・ダウン効果がなければ、地元経済は活性化しないからである。

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