SSブログ

ユニオン・スクエアのファーマーズ・マーケット [サステイナブルな問題]

ユニオン・スクエアのファーマーズ・マーケットを訪れ、ここを管理するBIDのジェニファー・フォーク代表理事に取材をし、また、ここに出店をしている人々、さらには顧客にも突撃取材を行う。ユニオン・スクエアのファーマーズ・マーケットはニューヨーク市最初のファーマーズ・マーケットである。それは、地産地消を目的としており、1976年に開始された。

IMG_9413.jpg
(月曜日は一番、人が少ないといわれるが、それでもファーマーズ・マーケットには多くの人で溢れていた)

IMG_9425.jpg
(座るところが欲しいというリクエストに応じて、最近整備されたばかりの椅子とテーブル)

ユニオン・スクエアは「針公園(麻薬を摂取するときに使われる針があちらこちらにおちていたので)」と呼ばれるほど一時期は治安が悪かったのだが、このファーマーズ・マーケット、さらに公園の管理を市役所からユニオン・スクエア・パートナーシップというBID(Business Improvement District)組織へと委ねることで状況は徐々に改善していく。

このファーマーズ・マーケットは、月曜日、水曜日、金曜日、土曜日の朝8時から午後6時まで開催されている。ここに出店できる人は、マンハッタンから200マイル以内で取れたものを、仲買人ではなく取った人が直接、販売するということが条件となっている。実際は販売されているものが取れた場所は、平均するとマンハッタンから90マイルの距離となっている。ピーク・シーズンともなれば、グリーンマーケットは週に25万人をも集客する。

このユニオン・スクエアでのファーマーズ・マーケットが成功したこともあり、現在では53カ所、そして230の農家、漁師などが参加している。ニューヨークというまさにコンクリートと鉄のジャングルのような大都市において、このように「食べ物」という、生きていくうえでの根源的な資源を安全に、しっかりと確保できるというチャンネルを構築できているということは感動的ですらある。これは、例えばアイダホのジャガイモ畑のレストランで、新鮮ではなく冷凍食品のフライド・ポテトを食べた経験のある私にとっては、もう驚愕することなのだ。すなわち、最も自然というか土からかけ離れているように思えるニューヨークの方が、アイダホのレストランよりも新鮮な食料にありつけるのである。

市場経済により流通の効率化が図られ、食文化や食の崩壊が最も進んでいると思われるアメリカにおいて、その経済をリードするニューヨークの足下においては、むしろローカルな農業や漁業を保全し、効率性を無視した地産地消のネットワークを構築しているのである。そして、このようなことが出来るからこそ、ニューヨークはアメリカにおいて特異な位置づけを確保しているのではないかと思われる。

私はニューヨークに何回か訪れているが、今回のニューヨーク訪問ほどニューヨークを見直したことはない。ハイライン、ブロードウェイの歩行者天国化、ブルックリン・ブリッジ・パーク・・・ニューヨークには絶望ではなく希望がある。そして、その希望を支えているのは、このファーマーズ・マーケットが象徴する自然、食料、地域との結びつきである。

そして、私が日本に絶望するのは、これら自然、食料が放射能に汚染されてしまったことである。放射能汚染された土地が希望を見出すことは極めて難しい。この希望を奪う原発をまた再開させようとするきな臭い動きが、みられ始めている。短期的な目先の利益に目がくらむ人達だ。しかし、日本が100年後、200年後にも人が住める土地を維持していくためにも、ここは極めて重要である。というのを、ユニオン・スクエアのファーマーズ・マーケットで認識する。

このユニオン・スクエアでのファーマーズ・マーケットでの取材等は、そのうち、公益法人ハイライフ研究所のホームページで公開される予定です。

nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0