ジュネーブを訪れる [都市デザイン]
ジュネーブに行く。フランクフルトにて3泊しなくてはいけなかったのだが、依頼した取材先に断られ、どうやって時間をつぶそうかと考え、2泊の小旅行に出かけることにしたからである。行き先としては、ザクセン州のケムニッツやフランクフルトのそばのザールブリュッケンなども考えたが、天気予報をみると、スイス方面以外は天気がよくないので、晴天を求めて南部に行くことにしたのである。スイス方面ではベルンやチューリッヒは行ったことがある。ということで、行ったことのない都市ということでジュネーブに向かった。
インターラーケン行きのICEに乗ったのだが、なぜかフライブルクで全員降車させられた。まあ、私にとっては極めて慣れている状況なので怒りもしないが、若干呆れる。他のドイツ人の乗客も、またかよというリアクションで怒る人もいない。ICEにしろ、TGVにしろ、遅延、故障は日常茶飯事である。日本の新幹線とはまったく比較にできないようなボロシステムであると思われるのだが、海外での新幹線受注競争では日本が後塵を拝している。本当に馬鹿げた話だよな、と思うが、日本の新幹線にしなかった国々は後で、相当、損をすると思われる。それは、まあ経済競争力に影響が与えられるからいいかとも思ったりもする。とはいえ、本当に馬鹿げているなと思いつつ、フライブルクで後続の電車を待つ。
さて、まあそういうこともあり、ジュネーブに着いたのは１６時くらいであった。まず、驚いたのは2月だというのにぽかぽかしていることである。東京よりもずっと暖かい。雪も積もっていない。手袋をしていたのだが、しなくても全く問題がないことに気づいた。周辺はワイン畑だらけだ。ジュネーブというとなんか冬は雪に覆われているといったイメージがあったのだが、そんなことは全然ないことを知った。標高も３００メートルちょっと。東京から避寒地として来てもいいくらいのポカポカさである。
ジュネーブ近郊にあるワイン畑を背に走るTGV
ジュネーブはまた世界で三番目に住みやすいというメルセルの調査結果がある。しかし、丸一日ジュネーブで時間を過ごした印象からは、そうは思えなかった。というのは、何しろ、自動車が溢れていて歩きにくいからである。フランス、イタリアというかラテン系の国の都市は、全般的に自動車が優先されており、人はないがしろにされている。これは北欧やドイツに比べて大きく異なる点だ。都市の重要な空間は、人が主人公となるような施策がドイツ、そして北欧では進んでいるのだが、フランスの都市はまだまだその意識が低い。ストラスブールやリオンのような先駆的な都市では、そのような試みも進められているが、一般的にはまだまだ自動車が優先されている。ちなみに、国別に人口当たりの交通死傷者数をみると、フランスは、日本はもちろんのこと、アメリカよりも高い。まあ、それだけ自動車が人に対して猛威をふるっているのだが、このジュネーブはフランスではないが、フランス的な印象をその都市空間の使われ方に感じたのである。フランス語が使われていることや、フランス人が多く運転している（ジュネーブの郊外圏の一部はフランス。自動車のライセンス・ナンバーをみると、半分くらいがスイスで残り半分はフランス）ことなどからも、ジュネーブはフランスの影響を強く受けていると思われる。それが都市政策、都市計画にも反映されているのではないだろうか。少なくとも、ジュネーブの建物は素晴らしい。それはリヨンやニースといった南部フランスを彷彿させる素敵なファサードを形成している。また、アルムス地区にある商業地区の雰囲気なんか魅力に溢れているが、それでも総じていうと、何か他のヨーロッパ都市に比べて、感心するものは少なかった。それは、公共交通を含めて、公共性が弱いからなのではないかと考察する。公共交通は、トラムは使い勝手が悪くないが、フランスの地区に行くものは恐ろしくわかりにくい。空間的にも、公共空間として強烈な魅力を有したところには不幸にも出会わなかった。ドイツやスウェーデンであれば、たとえば湖畔沿いの道路は地下化するなどの対応策を考えるであろう。自動車の渋滞は、この都市の交通機能を低減させているだけでなく、都市のアメニティをも低減させている。まあ、実際に生活すればそれほど悪くはないのかもしれない。同じメルセルの調査結果でドイツ一位の座はデュッセルドルフなのだが、デュッセルドルフも実際、そこで生活することで見えてくるよさがある。一日、二日の滞在でそこまでの魅力はなかなか理解できないであろう。ということで、私の観察は相当、いい加減かもしれないが、少なくとも、ちょっと訪れただけでは、その都市のよさがわかりにくい都市であることは確かではないだろうか。
ジュネーブ湖畔を走る道路は自動車で渋滞していた
旧市街地にも自動車が溢れている
インターラーケン行きのICEに乗ったのだが、なぜかフライブルクで全員降車させられた。まあ、私にとっては極めて慣れている状況なので怒りもしないが、若干呆れる。他のドイツ人の乗客も、またかよというリアクションで怒る人もいない。ICEにしろ、TGVにしろ、遅延、故障は日常茶飯事である。日本の新幹線とはまったく比較にできないようなボロシステムであると思われるのだが、海外での新幹線受注競争では日本が後塵を拝している。本当に馬鹿げた話だよな、と思うが、日本の新幹線にしなかった国々は後で、相当、損をすると思われる。それは、まあ経済競争力に影響が与えられるからいいかとも思ったりもする。とはいえ、本当に馬鹿げているなと思いつつ、フライブルクで後続の電車を待つ。
さて、まあそういうこともあり、ジュネーブに着いたのは１６時くらいであった。まず、驚いたのは2月だというのにぽかぽかしていることである。東京よりもずっと暖かい。雪も積もっていない。手袋をしていたのだが、しなくても全く問題がないことに気づいた。周辺はワイン畑だらけだ。ジュネーブというとなんか冬は雪に覆われているといったイメージがあったのだが、そんなことは全然ないことを知った。標高も３００メートルちょっと。東京から避寒地として来てもいいくらいのポカポカさである。
ジュネーブ近郊にあるワイン畑を背に走るTGV
ジュネーブはまた世界で三番目に住みやすいというメルセルの調査結果がある。しかし、丸一日ジュネーブで時間を過ごした印象からは、そうは思えなかった。というのは、何しろ、自動車が溢れていて歩きにくいからである。フランス、イタリアというかラテン系の国の都市は、全般的に自動車が優先されており、人はないがしろにされている。これは北欧やドイツに比べて大きく異なる点だ。都市の重要な空間は、人が主人公となるような施策がドイツ、そして北欧では進んでいるのだが、フランスの都市はまだまだその意識が低い。ストラスブールやリオンのような先駆的な都市では、そのような試みも進められているが、一般的にはまだまだ自動車が優先されている。ちなみに、国別に人口当たりの交通死傷者数をみると、フランスは、日本はもちろんのこと、アメリカよりも高い。まあ、それだけ自動車が人に対して猛威をふるっているのだが、このジュネーブはフランスではないが、フランス的な印象をその都市空間の使われ方に感じたのである。フランス語が使われていることや、フランス人が多く運転している（ジュネーブの郊外圏の一部はフランス。自動車のライセンス・ナンバーをみると、半分くらいがスイスで残り半分はフランス）ことなどからも、ジュネーブはフランスの影響を強く受けていると思われる。それが都市政策、都市計画にも反映されているのではないだろうか。少なくとも、ジュネーブの建物は素晴らしい。それはリヨンやニースといった南部フランスを彷彿させる素敵なファサードを形成している。また、アルムス地区にある商業地区の雰囲気なんか魅力に溢れているが、それでも総じていうと、何か他のヨーロッパ都市に比べて、感心するものは少なかった。それは、公共交通を含めて、公共性が弱いからなのではないかと考察する。公共交通は、トラムは使い勝手が悪くないが、フランスの地区に行くものは恐ろしくわかりにくい。空間的にも、公共空間として強烈な魅力を有したところには不幸にも出会わなかった。ドイツやスウェーデンであれば、たとえば湖畔沿いの道路は地下化するなどの対応策を考えるであろう。自動車の渋滞は、この都市の交通機能を低減させているだけでなく、都市のアメニティをも低減させている。まあ、実際に生活すればそれほど悪くはないのかもしれない。同じメルセルの調査結果でドイツ一位の座はデュッセルドルフなのだが、デュッセルドルフも実際、そこで生活することで見えてくるよさがある。一日、二日の滞在でそこまでの魅力はなかなか理解できないであろう。ということで、私の観察は相当、いい加減かもしれないが、少なくとも、ちょっと訪れただけでは、その都市のよさがわかりにくい都市であることは確かではないだろうか。
ジュネーブ湖畔を走る道路は自動車で渋滞していた
旧市街地にも自動車が溢れている
