くるりの『Team Rock』 [ロック音楽]
くるりは、常にある水準以上のアルバムを世に送り出し続けたという点で日本においては希有なバンドである。どのアルバムを買って損をしたと思わせたことが1度もないという点で、個人的にはとても信頼しているバンドである。その中でも彼ら3枚目となる本作は、『図鑑』とともに極めて傑出したアルバムであると思う。このアルバムを聞くと、いかに彼らの引き出しが多いかが理解できる。ヒップホップ・テイストのタイトル曲に始まり、ストレートど真ん中のロックン・ロールである「ワンダーフォーゲル」、サイケ風味の「LV30」、テクノ系のダンス・ミュージックである「C’mon C’mon」や「永遠」、日本の四畳半フォークを彷彿させる「カレーの歌」、ザ・フーかと思わせるような骨太のロックである「トレイン・ロック・フェスティバル」、カントリー調の「リバー」、そして至極の名曲「ばらの花」。旋律の美しさはもちろんのこと、聞き流せない歌詞の素晴らしさ。岸田の図抜けた才能が実感できる傑作である。