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金沢の茶屋街はサンタフェ化というかディズニーランダイゼーションの典型事例だ。といって批判している訳ではないのだが。 [都市デザイン]

金沢には3つの茶屋街がある。ひがし、主計、にしの3つである。ドイツ人と一緒ということもあり、これらを訪れる。最初に「にし茶屋街」を訪れたのだが、その光景を観て二人でほぼ異口同音に出てきた言葉が「サンタフェじゃん」。より正確に言うと、「This is Santa Fe!」という言葉を二人で発したのである。さて、ここでサンタフェとは何かを説明した方がいいと思われるのだが、サンタフェとはアメリカのニューメキシコ州にある都市で、アドビ建築という特徴ある建築物が多くあることで知られている都市型観光地である。しかし、これらのアドビ建築は伝統的な建築スタイルであるが、昔から残っている建物は少なく、多くは最近になって「伝統的な歴史がある都市にみえるように」つくられたものが多い。あたかも、あるコンセプトに基づいて人工的な空間を再現させたディズニーランドのようにつくられた「偽」の歴史的な街並みということで、このような現象をディズニーランダイゼーションともいう。金沢の茶屋街も歴史的な建築はもちろんあるのだが、それらの建築を核として、周辺の建築を綺麗に改修し、化粧直しをしている。その化粧直しの仕方が、ちょっと観光地というかディズニーランドでするようなわざとらしい印象を受けたのである。

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(にし茶屋街のデザインは嘘くさい)

もちろん、その結果、多くの観光客がこれらの茶屋街を訪れていたし、実際、それ以前の新旧が混在した都市景観よりずっとましだとは思う。だから批判をしている訳ではないし、やらないよりやった方がいいと思っているのだが、それでも、ちょっとわざとらしさが鼻についたのである。これは、道路があまりにも綺麗だからということもあったかもしれない。そのうち、エイジングが進めば状況はよくなるかもしれないが、道路があまりにも整然としていることが、この歴史的景観に違和感をもたらしているのではないかと思ったりもした。サンタフェ化を進めることは、それなりの意味があるのではないかと思うが、もう少しうまく、少なくともドイツ人が一発で見抜けるようなレベルではやらないでもらえるといいのにとは思う。もちろん、歴史的街並みをそのままの形で復元するのがベストではないのだろうし、21世紀における新しい街並みとして整備することも必要なのだろうが、少なくとも、街中にディズニーランドをつくることの功罪などを意識してもらえるといいと思う。そういう自覚があれば、東山のいかにも偽くさい、大正時代の建物を模したヘンテコな建物をつくったりはしない筈だろう。

タグ:金沢 茶屋街
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