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要町交差点にみるファスト風土化 [都市デザイン]

実家のそばに要町の交差点がある。地下鉄有楽町線の駅で池袋から一つ目にあたる。この交差点は、以前は結構、大きな本屋があったり、またチェーンではあったがローカル色の強いファストフード店が立地していたり、その周辺には地元経営の居酒屋や天ぷら屋などが立地していたりして、それなりには地域性を有していた。しかし、先日この交差点を訪れて驚いた。本屋はコンビニに置き換わり、4つの角のうち3つがコンビニという有様。そして残り一つは大手のレンタルCD屋のツタヤである。3つがコンビニというのも恐ろしく芸がないが、その周辺を見渡してもジョナサン、ブックオフ、牛角、オリジン弁当、ドトール・コーヒーとナショナル・チェーンの店ばかりだ。さらに、パチンコ店、ソフトバンクの携帯電話売り場。まるで郊外のつまらない幹線道路の交差点のようになってしまっている。東京の街の魅力は、ナショナル・チェーンだけではなく、経営者が自ら経営したり、調理をしたりする店が多いことだ。生鮮三店(肉屋、八百屋、魚屋)が揃っていることや、豆腐屋、おでんの種屋、漬けもの屋があることが東京の郊外、そして地方都市にない魅力である。郊外はともかく、地方都市は東京に追いつけとばかり、マクドナルドやスターバックス、吉野屋などを積極的に誘致したことで、東京と差別化できる唯一の個性を喪失した。そのことで、地方都市は致命的に魅力を喪失してしまったのだから皮肉なことだ。しかし、東京も同様のことが要町や、道路幅を拡張しているところで生じている。要町以外では中野坂上や東新宿などがそうだ。新しくつくられた豊洲とかがまったくもって郊外的でファスト風土的なのはしょうがないが、個性がそれなりにあった街がファスト風土化してつまらなくなっているのはとても残念である。ただし、要町にはインド人や中国人達が経営するレストランがポツポツと建ち始めているのはよい兆候だ。ニューヨークにおける韓国人、ベルリンにおけるトルコ人、ロンドンにおけるパキスタン人(インド人)が都市活動を活性化し、都市としての魅力を維持しているのと同様に、東京においてもつまらないグローバル経済、マーケティング戦略とは無縁に勢いで活動する外国人達によって、ファスト風土化する流れに対抗することができている。そして、東京という大都市であるがゆえに、そのコスモポリタン性が彼らを受け入れ、東京の個性へと転化させることに成功しているのである。

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