なかだえり『東京さんぽるぽ』 [書評]
東京の魅力的な個性を味わうことができるスポット44カ所を紹介している本書。六本木ヒルズや東京ミッドタウン、お台場といったコスモポリタン的な今風なスポットは一切オミット。代わりに世界でここ東京しかないような、ジャポネスク臭ぷんぷんのスポットがこれでもかと紹介されている。このレトロ的というかサザエさん的な東京の持つ魅力が、なかだえりの何とも心が和む、それでいてワクワクさせるようなカラフルで素敵な水彩画で増幅されていて、読んでいて楽しく、また普段見落としがちな東京の素晴らしさが再確認される。水彩画の素晴らしさはもちろんのこと、本書の魅力はなかだえりの都市を観るその視座である。それは彼女の恩師である陣内先生から引き継いだものであろう。続編が是非とも期待される。