『福祉国家デンマークのまちづくり』 [書評]
本書の題名は『福祉国家デンマークのまちづくり』であるが、どちらかというと「デンマークの民主主義」、「共治国家デンマーク」といった題名であった方が内容をより正確に反映させていると思われる。多少、住宅政策や地方自治のことに関しては記述があるが、しっかりとした視座に基づく整理という訳でもなく、その事例研究などは参考になるが、「まちづくり」の具体的な施策等に関しては、その記述は不十分である。つまり、デンマークの「まちづくり」の背景はよく整理されており、理解は進んだが、まちづくり・都市計画制度に関してはよく理解できなかった。とはいえ、内容自体は優れていて、デンマークに関する他の本に比べるとずっと充実していると思われる(例えば「デンマークの環境に優しいまちづくり」)。本書とは直接、関係ないが、本書で紹介されたデンマークの思想家グルントヴィのビジョンに感銘を受けたので、ここに記す。
「過剰に所有する者がほとんどおらず、過小の所有する者はなおさらいない。そのとき、私たちは豊かさを得ているのだ」
「過剰に所有する者がほとんどおらず、過小の所有する者はなおさらいない。そのとき、私たちは豊かさを得ているのだ」