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ドイツの語学学校で「丸の内サディスティック」を聴かせる [ロック音楽]

ドイツの語学学校に10月からまた通っている。さて、そこで自分の好きな歌を授業で他の生徒に聴かせるという課題があったので、迷わず椎名林檎の曲を聴かせることを企てる。問題は、どの歌をかけるかということである。個人的には「落日」とか「すべりだい」とかにしたいところであるが、万人に受けるというと「ギブス」か「本能」、「ここでキスして」、「幸福論」か。ドイツ語の語りが入る「やっつけ仕事」というチョイスもあるし、最近の曲ということで「ありあまる富」、「旬」なども頭に浮かんだが、ここはやっぱりファンキーさが求められるかもと考え「丸の内サディスティック」にする。さて、私のプレゼン?がきて、椎名林檎という名前の歌手の曲で、曲名は「丸の内サディスティック」であるとドイツ語で説明する。タイトルの名前と歌詞を説明しろ、と言われてはたと困った。とりあえず、丸の内というのは東京のCBDで、サディスティックはサディストであると説明した。サディストがうまく通じなくて、フランス語が語源だとかいろいろと説明を試みたら、最終的に通じた。しかし、歌詞は説明できなかった。丸の内線という地下鉄の路線があって、その駅ごとのエピソードが語られているといっても、「将来僧になって結婚して欲しい 毎晩寝具で遊戯するだけ ピザ屋の彼女になってみたい」という歌詞の説明は日本語でもできない。ということで歌詞は意味不明と言っておいた。しかし、そんな曲を紹介するなよな。

ということだが、世界の人間に椎名林檎という日本人のメガトン級才能を知らしめるいい機会なので、曲を流す。さびの前で曲を止めさせられたのは残念であったが、日本のロック音楽のレベルの高さを多少は理解してもらったのではないだろうか。スペイン人やラテン系は概ね高い評価で、高齢のアメリカ人とアラビア系の女性には評価が低かった。しかし、私は椎名林檎を理解できないのは、その人の文化レベルが低いだけだという超思い上がった思想の持ち主なので、評価されなくても痛くも痒くもない。むしろ、ヒスパニック系が高い評価をしてことで、彼らに一目を置く。

椎名林檎が出てくる以前、私はアメリカに留学していた。家に遊びに来ていたバンドをやっている友達に得意気に森高千里のビデオを流したら、まったくもって評価されなかった。しかし、その当時、森高千里以上にアメリカ人にインパクトを与えられそうな日本人のミュージシャンは思いつかなかったのである(森高千里がミュージシャンというと語弊があるが、パフォーマーとしてその奇天烈さがもしかしたら受けるかもと思ったのである)。間違っても桑田佳祐とかARB、BOØY、矢沢永吉とかは見せられなかったし、レベッカやRCサクセッションもちょっと無理だったと思われる。矢野顕子や高橋幸宏とかだったら通じたかもしれないが、そもそも一般的なマーケットを対象とした音楽ではない。苦し紛れに見せたのが森高千里だったが、やはり駄目だった。ああ、日本人でいることは惨めで辛いと思わされたものであった。しかし、今では堂々と椎名林檎を見せて胸を張ることができる。これがどんなに私にとって嬉しいことか。私的には、日本が国連の常任理事国に入れることなんかより、はるかに日本が一流国の仲間入りをできたかのような気持ちになれるのである。

とはいえ、二回りも離れている学生達を相手に何を意識しているんだろう。ここらへんの自分の幼稚さには自分でも呆れかえるが、まあ、それまでイギリスやアメリカの音楽ばかりを聴き続けたことによって、長い年月をかけて堆積した日本人コンプレックスの憂さを晴らす千載一遇の機会だったので、このブログの読者も大目に見て下さると有り難い。私にとって椎名林檎はイチローと同じくらい日本人の才能を世界に知らしめさせるポテンシャルを有した偉大な存在なのである。
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