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新書発売を記念して、没原稿を何回かに分けてアップする(2) [道路整備事業の大罪]

昨日に続いて、6日に発売される新書を記念して、没原稿をアップする。選挙前に是非とも手にとってもらえればと思っている。宜しくお願いします。


道路整備事業の大罪 ~道路は地方を救えない (新書y 220)

道路整備事業の大罪 ~道路は地方を救えない (新書y 220)

  • 作者: 服部 圭郎
  • 出版社/メーカー: 洋泉社
  • 発売日: 2009/08/06
  • メディア: 新書



それでは、没原稿2号(道路整備をしても観光業にはプラスの影響が大きくないどころかマイナスのこともあるという事例の紹介。文字数が多いのでカットしたところ)。

 本州四国架橋が整備されたことで、四国側の着岸地の一つである坂出市は開業当初、「観光客の爆発的な増加に圧倒される思いがあった」というが、実際に地元に貢献した観光収入は小さく、しばらくすると通過点になってしまった。
 鉄道旅行の場合は、たとえ特急が走るようになって利便性が高くなっても、目的地に宿泊する傾向は変わらない。これは、鉄道での旅行の場合、手荷物を運ばなくてはならないため、目的とする観光地に到着するとホテルにチェックインして、荷物を預けて身軽になって観光したいと旅行者が考えるからだ。
 それに対して、自動車旅行はそのような荷物はトランクに入れっぱなしなので、目的とする観光地で必要とするのは単に駐車場となる。そして、宿泊先はどこでもよくなる。目的とする観光地に泊まることも選択肢には入るだろうが、そのような観光地より安く泊まれる宿が周辺にあれば、そこに移動することもできる。ましてや、高速道路などが整備され、簡単に移動できるようであればなおさらだ。
 しかも、観光客は自家用車で来ると、その地にあまりお金を落とさない。自分でお酒から何やら持ってこられるからである。
 道路整備による観光への波及効果は、拠点性の高いところにはプラスになるかもしれないが、前述した五箇山のようなケースではマイナスのほうが多くなる。どんなところでも、道路が整備されれば観光客が増えて、儲かるだろうと考えるのは早計に過ぎるのだ。実態はそれほど単純ではない。
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