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月島の高層マンションの生活は郊外型ライフスタイルと共通点が多いことを発見する [都市デザイン]

高層マンションがブームである。都心に住みたいというニーズに対して、今まで供給がほとんどなかったので、地価下落によって、都心居住という東京の新しいライフスタイルをそれは実現させてくれる、という触れ込みで結構売れ行きも悪くないようだ。先日、このような高層マンションを訪れた。月島のそばに立地する30階建てのそれは、倉庫街の中に立っていた。地上部分の共有スペースは日曜であったにもかかわらず、誰も利用していなかった。しかし、その無意味さと場違いな気張り感が、返ってリッチさを醸し出している。
部屋からは倉庫や食品工場の向こうにレインボー・ブリッジが見える。遠くに汐留やお台場が見えるが、足下はどうもパッとしない。日当たりが良いのはポイントだが、目の前の空き地に同じような高層ビルが立ったら、それまでである。どうも都心に住みたいというニーズに対応した割には、なんか都心の良さが感じられない。その住民と15分歩いて行ける築地の鮨屋に行こうとしたら車で行く、という。駐車場代がもったいない、と言ったら、ここではちょっとした用事でも自動車で行くんだ、と笑って言う。なんかそれって郊外じゃないか。しかも、周辺は倉庫や工場地帯なので、この高層マンションは周りの環境から孤立した要塞のような感じがする。そう考えると、1階の仰々しい玄関や共有空間も納得がいく。よそ者を排除させ、住民に自分たちの陣地に戻ったことを知らしめるには結構いい演出かもしれない。部屋からの汐留やお台場の景色は無味乾燥ではあるが、近未来的なものである。しかし、これってむしろ千葉ニュータウンのような景色で、東京という都心の生活とは違うよな、と感じる。それじゃ、東京の都心の生活とは何かというと、それはむしろ本郷や麻布十番、白金、四ッ谷なんかの明治時代に開発された住宅地なんだろう。しかし、これらの地区も最近の衰退は結構著しくて、その1つの要因が高層マンションなどの大規模な開発だったりするから皮肉だ。白金では多くの高層マンションが現在、建設中であるが、そのセールス・ポイントが「夢の白金ライフを実現させよう」といった類のもので、なぜかヘップバーンが広告に起用されている。しかし、この高層マンション自体が、豊かな白金ライフを破壊しているのだから皮肉である。40階、50階の高層マンションが林立して、豊かな住環境も何もないものだ。しかし、東京を代表する高級住宅地において、このような野蛮な開発が許されるのだから、東京の都市が豊かになれる訳はない。

ちなみに、月島の高層マンションは80平米で6000万円だそうだ。白金とかで現在、建設中のものはもっと高いだろう。コスト・パフォーマンスの悪いという点でも、日本は生活空間貧困国である。
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