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治安をよくするために警官を増やすという対策は安易に過ぎると思う [都市デザイン]

治安が悪くなっている。人口10万人当たりの刑法犯総数は、平成8年から平成12年の5年間で1440 件から1926件と急増している。一方で犯罪検挙率が24.2%と激減している。平成9年には40%であったことを考えると、治安神話の崩壊と騒がれるのも当然かもしれない。そして、このような治安に対する不安感からか、住宅地において監視カメラを設置することを希望する住民が増えているようだ。しかし、そのように希望している住民もプライバシーは維持して欲しいという。どこが矛盾を感じる。監視カメラによって、どの程度の治安を確保できるのか。監視カメラで誰が監視するのか。誰がその費用を負担するのか。実際、監視カメラで犯罪行為を発見した場合、どの程度迅速に対処できるのか。誰が対処するのか。犯罪が起きた場合に、このアメリカ並みに低い犯罪検挙率を高める効果はあるかもしれない。しかし、逆にこの検挙率の低さは、監視カメラでの追加情報で劇的に改善されるようなものなのか。もっと、根本的な要因があるのではないだろうか。

学生のエッセイで、都市の治安をよくするためにどうすればよいかを尋ねると判を押したように、警官を増やす、警備を強化する、という。私は警官が多くいたり、警備員が多くいるような空間はどうも落ち着かないし、それがいい生活環境であるとはとても思わない。別に、やましいところはないのだが。それは、都市の自由な空気、雰囲気といった都市の最大の魅力を損なう。そのような魅力を損なうことを平気で提案してしまう想像力のなさが心配である。これは何も学生ではなく、プライバシーを維持しつつ、監視カメラを設置することを望む住民にも同じことがいえる。もう少し、人間的な解決方法はないのだろうか。また、この治安悪化の背景にある社会病理をしっかりと見つめ、分析することが必要なのではないだろうか。
タグ:治安悪化
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