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若者はクリエイティブな仕事なら喜んでやると考えるのは大間違いだ、と思う [教育論]

知り合いに一部上場の経営顧問をしている人がいる。彼は、若者がなかなか仕事にコミットできないのはクリエイティブな仕事をさせてないからだ、と考えて、なるべくクリエイティブな仕事をさせるようにしなくてはいけない、と対策を練っている。
 私はそれを聞いて違和感を覚えた。というのも、私が日々、接している偏差値50前後の学生(いわゆる大学卒の平均ということですかね)のほとんどはクリエイティブな仕事をさせようとすると、それを忌諱するからだ。むしろ、頭を考えずに機械的に作業をこなす、ノン・クリエイティブな仕事をやりたがる。答えを見出すといったクリエイティブな仕事に必要とされるような状況に置かれることを、むしろ強烈に拒絶する。そして、すぐChatGPTに答えを求める。つまり、クリエイティブな仕事こそ、コンピューターに依存し、自分達はただ、何も考えないで単純作業の方が好む傾向があるからだ。
 もちろん、中にはそのようなクリエイティブな仕事の方に楽しみを見出す学生もいないではないが、それはほぼ私の場合、1割ぐらいだと思う。うちの学生は公務員志望が多いが、それもクリエイティブな仕事ではなく、ルーチンで処理できるからだと考えているからだと思われる時がある。要するに付加価値を出さなくても、上の言うことを聞いていけば給料がもらえる仕事と思っているからだという節がある。すべて指示待ちという学生こそ、公務員志望が多い。いやいや、公務員も随分となめられたもんだ。よく考えると、試験勉強というのは結構、クリエイティブでなくてもできるから、そのような学生が公務員志望になることはよく分かる。
 現在、学生達に地元のB級グルメでも考えたら、というクリエイティブな課題を出したのだが、いやあ、全然、オリジナルでクリエイティブなアイデアは出てきませんよ。そもそも、地元のどういう資源を活かしらいいかのアイデアが出てこない。「先生、教えてください」・・・ですぐ答えを求めてくる。そして、ちょっと焼きそばにでもするか、と試作会をしたら、そもそも料理がまったくできない。いや、下宿していた女の子一人が包丁をまともに使えたが、他の学生はもう怪我をいつするのか、とハラハラしてしまいましたよ。火で炒める時、腰が引けている女の子とかがいたからな。
 ということで、クリエイティブな前に野菜を炒められる、包丁を使えるといった基礎的な技術をマスターすることが先ということが分かったのだが、何もこれはB級グルメのメニュー開発に限った話で閉じる話ではない。楽器が弾けなければろくなメロディは出てこない。絵の具が使えなければいい絵は描けない。オリジナルな仕事をするというのであれば、それなりの技術をマスターすることが必要で、そういう技術がクリエイティビティを育むのである。そこをスキップしら、クリエイティブになれる訳はなく、当然、クリエイティブな仕事をできないというか、したがる訳がない。そのような人が仕事にやり甲斐を持つ訳はない。仕事にやり甲斐を持つのは、自分の技術が活きる時だからだ。仕事の内容ではない。

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