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新著『ドイツ・縮小時代の都市デザイン』発刊 [都市デザイン]

新著を2年ぶりに出す。『ドイツ・縮小時代の都市デザイン』というタイトルで学芸出版社から出版される。これは、私が2002年頃から細々とドイツの縮小政策をとりまとめてきたものを一冊に整理したものである。それから14年間。実は出版社に企画書が通ったのが2008年であるから、本当に仕事が遅い。


ドイツ・縮小時代の都市デザイン

ドイツ・縮小時代の都市デザイン

  • 作者: 服部 圭郎
  • 出版社/メーカー: 学芸出版社
  • 発売日: 2016/04/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



さて、そこで出版を記念して、本に紹介できなかったエピソードを少しずつ、時間があれば紹介したいと思う。

ライプツィヒにグリューノウという団地がある。1990年に8万人近くあった人口がほぼ2010年には半減したニュータウンである。しかし、昨年、ようやく人口が反転した。ようやく縮小が止まったのである。

さて、このグリューノウにおいては、縮小が進展していた時でも積極的に投資をしようとした人が存在した。その象徴となるような人は第8地区の薬局のオーナーである。彼は、旧西ドイツの出身であったが、第8地区において撤去政策が遂行されている最中、この地区の有するポテンシャルに気づき、ここに薬局とさらにその後、クリニックを新設する。これは、彼がこのような医療サービスの需要が第8地区にあるということに気づいたためであり、この事業は現在までも問題なく営業が続けられている。クリニックのある建物には、幾つかの住宅も設置したのだが、それらは建物が完成する以前にすべて借り手が決まったほど人気があった 。彼をドンキホーテと見た人達がほとんどだったが、人口が反転した今は、彼は天才のように思われている。将来を俯瞰する洞察力と現状をしっかりと理解する分析力が、縮小という変化に富む時代には求められていることを改めて気づかせてくれる。





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