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スキー場の集客力が大幅に低下して、これから戦略的に淘汰させることが必要となるだろう [サステイナブルな問題]

久しぶりに日本のスキー場を訪れる。といっても3年ぶりくらいだが。さて、今回、訪れているのは宮城蔵王のエボシスキー場であるが、ここは大体、年間で延べ15万人くらいが訪れるそうである。祝日などのピーク時で2000人くらい入るというので、まあ、そんな数字であろう。さて、私はまさにピーク時というか書き入れ時に訪れていた訳であるが、ゴンドラで待つ時間は5分もなく、リフトに待つ時間はほとんどないようなガラガラの状況であった。このようにサービスが過剰供給されているのは、20年近く前に日本国中でスキー・ブームがあったからである。20年近く前、エボシスキー場の来場者は延べ50万人であった。その当時は、混雑時になれば、もうゴンドラの待ち時間は、1時間は覚悟しなくてはいけないような状態だったそうである。隣の山形蔵王は、20年近く前は150万人をスキー客として集客していたが、現在は80万人程度だそうだ。エボシほどの減少率ではないが、それでも半分以下である。

さて、20年近く前、日本国中で雪が降りそうなところはスキー場開発が行われた。民間の開発が多いが、町営、村営も少なくない。民間に関しては、リスクは企業が負うので心配をする必要はないが、町営、村営は住民がリスクを管理しなくてはいけないので大変だ。スキー場というのは、基本的にはスケール・メリットが効く。すなわち、大きければ大きいところほど、他の条件が同じであれば商圏も広くなり、経営上は有利になるのである。逆に小さいところには道路整備などの交通ネットワークが向上すると人々はあまり行かなくなる。町営、村営のものは大抵、リフトが3本程度の小規模なものがほとんどである。町営、村営であれば地元の小学校の体育の授業とかで利用されるようにすればそれなりに存在価値もあるのだが、最近はゆとり教育の煽りを受けてそういうことでも利用されていないそうだ。エボシスキー場の周辺にも4つくらいのスキー場があるようだが、エボシスキー場以外は小さすぎて行こうとも考えなかった。県内の人もやはり大きくてコースの選択もでき、また食事などのサービス施設が充実しているところに惹かれるようである。

スキー離れがどうして生じたのかは現時点では不明である。サービスもよくなり、コスト・パフォーマンスも上がり、ホテルやレストランなどサポート・サービスも遙かに向上したにも関わらず、需要が大きく減少したのは、あまりにもスキー場が増えすぎたことも要因であろうが、それだけでは説明できないほど減りすぎである。今後、高齢化、人口縮小が進んでいくことを考えると、町営、村営で経営が赤字になっているスキー場は戦略的に閉鎖していくことが必要となるであろう。その場合、戦略なくつくってしまって今のような事態を生じた轍を踏まないように、戦略的に広域連携して撤退戦略を検討することが必要となるであろう。

私は宮城県立大学で「リゾート施設計画論」という講義を7年間担当していたことがあるので、この不味いシチュエーションが気になるのである。

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