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横手 [都市デザイン]

横手に泊まっている。横手に来たのは初めてである。仙台から北上経由で奥羽山脈を自動車で越えてきた。横手インターチェンジで高速道路から降りた私の眼前には、片道2車線の一直線の大通りが広がり、その沿道にはどこに出しても恥ずかしくないほど立派なファスト風土が広がっていた。凄い景色である。当然、そのファスト風土の景観を構成する核としてイオンがドーンと構えていたのは言うまでもない。

私が宿泊したのは横手駅前のホテルであった。横手駅は北上線と奥羽本線の結節点であり、それなりに昔は栄えていたのであろうが、今は恐ろしく寂れている。駅前にはマックスバリューがあったが、ほとんど人が入っていなかった。バスに二台遭遇したが、なんと乗客はゼロであった。回送かと思ったが、そうではなかった。駅周辺には10軒ほどの食堂があったが、どれも人は入っていなく、私は唯一、私以外に客がいる店に入った。

どうも横手の名物は焼きそばらしいので、ビールとともにそれを注文した。焼きそばはソース焼きそばであり、まあ不味くはないが、焼きそば以上のものではなかった。焼きそばを食べつつ、畠山鈴香の娘の彩香ちゃんの最後の食事がインスタント焼きそばであるという記事を読んで胸を詰まらせたことが以前あったのだが、もしかしたら秋田県の人々はもっと焼きそばは相当主食的なメジャーな位置づけにあるのではないかという仮説を抱いた。

それにしても横手の駅前は死んでいる。もうイオンなどの郊外出店をどうのこうの言う状態は既に過ぎ去っている。今の時点では回復不可能であり、もう以前の中心市街地は完全に捨てさり、イオンを街の中心に据えるべきである。将来を見据えることをしっかりせずに、イオンを始めとした郊外開発を無計画に受け入れた報いである。私はイオンが街の中心になるような都市は、エネルギー的にも、コミュニティ性を維持するためにも、まったくもって反対の立場にあるものであるが、横手はもう降伏することしかない。降伏しないで抵抗しても、まったくもって無駄に終わるだけでなく、お金の無駄である。駅前は、たんなる駅関係の機能だけを置いておき、他の本来的な都市機能、例えばホテルや郵便局、銀行、オフィスなどはすべてイオンを中心とした大通りの沿道に集積させるべきである。それが最も効率的であり、今更、コンパクトシティなどといった夢物語を言い出さないことが重要である。そのような夢物語を言う資格を横手は有していない。それは、イオンという帝国を受け入れた報いである。もう横手はアメリカ型の郊外都市以外に効率的に生き延びる手段はほとんど有していないし、おそらく市民もそのような方針は望んでいないであろう。石油が枯渇するまで、この状況で行くしかないであろう。イオン帝国の軍門に下る以外、この街の将来はない。それは、私としても敗北宣言であるが、5年前に私に相談しなかったので、私としても何もできない。しかし、本当に日本の地方都市の明日はどうなるのであろうか。悔しいとしかいいようがない。


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