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柳川市の景観づくり [都市デザイン]

 福岡に打ち合わせに来た。翌日、特に予定がないのでそれまで来る機会がなかった柳川を訪れた。幸い、前日に市役所にちょっと資料をいただけないかと連絡したら承諾してくれたので、西鉄に乗って役所に行き、特に景観条例がらみの話を聞かせてもらい、その後、柳川名物の鰻を食べ、お堀沿いの周りを2時間ぐらい散策した。
 柳川のお堀を保全するよう動いたのは、一人の市の職員である。この職員の情熱が、現在の美しい水郷空間の具体化に繋がったというのは大変心温まるいい話である。日本のサンアントニオのようだ(サンアントニアに関してはhttp://www.hilife.or.jp/cities/?p=76参照)。ただ、柳川は美しい水郷景観を保全してはいても、建物的には伝統的建造物はほとんどなく、したがって昔は伝建地区を目指していたのだが諦めたという経緯がある。
 昭和46年から伝統美観条例は策定していた。そういこともあって、景観法がつくられた時、景観条例を制定することは自然な流れといってもよかったであろう。お城が昔あり、内堀、外堀は守るという意思が育まれていた。そして、掘り割りは江戸時代のものがそのまま残っている。ただ、建物は残っていない。そして、統一感のある街並みはない。人々はそして街並みに不満を持っていない。商店街などで外観の修景をしようとしても、商店の人達は興味が無い。
 そういうこともあって、景観づくりというアプローチも保全というよりかは、ワークショップを行うことで、住民の意識を高めるということを中心としている。そして、駅を整備した。この駅はデザイン賞をとるなど、洗練された意匠の建物となっている。そして、駅から南西に観光の中心の沖端地区があるが、ここが先行して取り組んだ。そして、柳川商店街では修景には取り組めていないが、サインを分かりやすくしたり、空き家の活用などを展開したりしている。
 市役所としても、王道なのは歴史景観であることは理解しているが、柳川では出来ないので「営み景観」をつくろうとしているのである。
 フレームワークに拘らず、柔軟に住民とコミュニケーションをして景観を緩やかに形成しようとしている柳川。お堀をしっかりと保全することに成功した要因は、このような柔軟でいて辛抱強く、しかし最終的な目標地点には確実に近づくようなアプローチにあったのではないか、と思ったりした。

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タグ:柳川 景観
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