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燧ヶ岳(百名山62座登頂) [日本百名山]

燧ヶ岳にチャレンジする。百名山チャレンジは1年2ヶ月ぶりである。ドイツに行っていたこともあり、久しぶりの登山である。燧ヶ岳は実は大学生の時に登ったことがある。私は早稲田大学に一年だけ通ったことがあるのだが、その必修科目であるスポーツのコースとしてワンダーフォーゲルを選んだ。そのコースは夏休みに二度、山に登りに行くと単位がもらえるというもので、私は妙高山と火打山、そして燧ヶ岳に登った。その時の記憶は、随分と石だらけのところを登るというものであったが、果たして、それから42年という月日が過ぎても燧ヶ岳の御池登山路は石だらけの難路であった。
 前日に尾瀬御池にある御池山荘に泊まり、6時過ぎには山荘を出発した。登山開始は6時15分。御池登山は歩き始めるとすぐ結構の大きさの石だらけの急斜面を登らせられる。これは、下りは随分ときついなとの思い、帰りは沼山峠に抜けようとこの時は考える。55分後の7時10分には広沢田代に着く。この湿原が現れると爽快な気分になる。さて、湿原を過ぎるとまた岩だらけの急斜面が現れる。これは、上りはきついだけでどうにかやり過ごせるが、下りは滑りやすく結構、危険だなと思う。

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<御池山荘は山荘とは思えないほど巨大な宿泊施設である。銭湯もついてある>

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<登山路はすぐに三条の滝へ行く道と分岐する>

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<早速、岩だらけの登山路が目の前に立ちはだかる>

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<広沢田代は新しく整備された登山道を歩くので快適だ>

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<湿原がこの厳しい登山路に清涼水のような爽やかさをもたらしてくれる>

さて、広沢田代から60分ほど歩き、熊沢田代に出る。これは広大な湿原で、その正面に燧ヶ岳のどっしりとした姿が見える。湿原を歩く時は歩道が設置されているのだが、この歩道が結構、もうぼろぼろで滑りやすいので気をつける必要がある。湿原から緩やかな階段を上っていくのだが、ここで私の大腿筋が若干、悲鳴を上げる。いつもより随分と早い。まあ、久しぶりの登山と、それまでが急斜面であったためであろう。ここで無理をすると、痙攣が始まってしまうので休み、マッサージをし、だましだまし一歩、一歩高さを稼いでいく。何しろ、急坂であるので太股へのプレッシャーも大きい。また、急斜面の熊笹の藪を横切ったりするのだが、その時の道幅が狭い。これは、踏み外すと落ちるぞ、と気を引き締めた瞬間、踏み外して斜面を滑り落ちそうになった。幸い、熊笹をしっかりと掴んだために落ちなかったが、注意をしていても踏み外すぐらい道幅が狭いのと、熊笹に蔽われているので地面の状況が分からない。これは要注意だ。そして、涸れ沢を200メートルは登っていくのだが、これはきついことはきついが、序盤の大きな岩を越えていくよりはまだましだ。

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<熊沢田代からは燧ヶ岳が目の前にそびえ立つ。この時は、そんなに登山路が厳しそうに見えなかったのだが・・・>

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<熊沢田代からの緩やかの上り階段から湿原を振り返る>

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<登山路が整備されているのだが、至るところで壊れていて、また滑りやすいので油断をしないことが重要だ>

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<長い涸れ沢をひたすら登っていく>

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<ガレ場を横断する時もちょっと滑りそうなので緊張する>

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<登山中、振り返ると会津駒ヶ岳の雄姿を望むことができる>

 しかし、いつまでもこのような試練も続く訳ではなく、どうにかこうにか俎ぐらの山頂に着くことができた。登り始めてから3時間45分後である。10時ちょうどぐらいに到着した。大腿筋を守りながらの登山であったのでコースタイムより時間はかかった。さて、燧ヶ岳の最高峰は俎ぐらではなく、30分ほどさらに行った柴安ぐら頂上である。しかし、俎ぐらの山頂は凄い勢いで風が吹いており、結構寒く、尾瀬沼方面、柴安ぐら方面の視界はゼロに近い状態である。これは柴安ぐらに行っても何も見えないことから行くのを諦める。いらないであろうと思いつつ、いざという時のことを考えてもってきた防寒用さらに、沼山峠へのルートもこの視界の悪い状態では楽しくないし、また危険であるなと思い、天気は悪くない御池登山路を引き返す。さて、登っていた時に下りは相当、大変だとは思っていたが、実際、下り始めると本当、大変であった。前半のガレはまだ注意をすれば大丈夫であったが、熊沢田代を過ぎた後の岩の急坂、さらに広沢田代を過ぎた後の大岩の急坂は、本当、相当の注意をしないと滑り落ちてしまうので神経がすり減る。それでも、一度は斜めになっていた急坂の階段で滑ってしまい、こけそうになることが一度。そして、岩から滑った時に左手の親指を強打して突き指をしてしまった。いやはや、この下り坂は本当、半端なく厳しい。41年前も大変だったという記憶はあったが、当時は若かったのでもう少し、軽やかに降りられたような気がする。年寄りには非常に厳しい登山路ではないだろうか。どことなく、羊蹄山の登山を彷彿させるが、羊蹄山とは違い、途中、二箇所、湿原を通り抜けるのは救いである。結局、下りも上りと同じぐらいの時間をかけることになってしまい、登山口に着いたのは13時30分であった。この登山ルートは二度と行きたくないな、と思わせるほど厳しいものであった。

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俎ぐらの山頂から望む尾瀬沼。暑い雲に蔽われ、ほとんど見えなかったが、ちょっとした隙をついて撮影した写真

<御池コース>
登山道整備度 ★★☆☆☆ 一部、湿原のところは新しい歩道が整備されて歩きやすくなっていたりするが、総じて整備不足である。
岩場度 ★★★★★ 登山直前、それから広沢田代、熊沢田代の間の岩場は、その岩の大きさから行っても相当、歩きにくい。これより凄いところもあるかもしれないが、個人的な感想としては、これがチャレンジをする限界に近い岩場度。
登山道ぬかるみ度 ★★★☆☆ 全般的に登山口から熊沢田代までは相当、ぬかるんでいる。ただ、岩場の方が滑りやすいのと、岩が多いのでぬかるみ自体はそれほど気にならない。
登山道笹度 ★★☆☆☆ 熊沢田代を超えると笹藪を横切る。その際、道が狭いのでくれぐれも滑り落ちないように気をつけることが必要だ。筆者は滑り落ち、熊笹をすばやく掴んだので難を逃れた。
虫うっとうしい度 ★★☆☆☆ 多少、虫はいるが10月だったこともあり、うっとうしくはなかった。
展望度 ★★★☆☆ 天気が悪かったので個人的には、その素晴らしさを確認できなかったが、相当の展望が得られるとの評判。
駐車場アクセス度 ★★★★★ 駐車場へのアクセスは問題はない。ただし、アプローチは遠い。
トイレ充実度 ★☆☆☆☆ (コース沿いにはほとんどない)
下山後の温泉充実度 ★★★★☆ (檜枝岐まで行くと素晴らしい温泉がたくさんある)
安全度 ★☆☆☆☆ 上りはともかく下りは相当、危険。個人的には二度と下りたくない。

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