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斜陽の国ドイツ(2): オリンピック強国からの転落 [ドイツ便り]

ドイツの斜陽を示す指標として、オリンピックのメダル数がある。パリのオリンピックでは、ドイツは金メダル数が12, 総メダル数が33であるが、これは開催国であるフランス(16, 64)はともかくとして、オランダ(15, 34)、イギリス(14, 65)、イタリア(12, 40)よりも劣っている。ここでポイントとなるのは、ドイツはこれらの国より遥かに人口が多いことで、特にオランダの人口は1770万人とドイツの人口の2割ちょっとしかない。ちなみにドイツよりは人口が多いということもあるが、日本の20, 45をドイツの人口へと換算すると13, 30となるので、まああまり違いはない。そういう点では、日本人にそこらへんでケチをつけられたくないといく気持ちはあるかもしれないが、ドイツより人口が1/3は少ない韓国が13, 32というのは、やはり欧州連盟最大国としては、なんか不味いのではないか。

ちなみにドイツは国別だと10位であり、人口当たりでみた場合のメダル数は金メダル、総数ともにヨーロッパでも最低レベルにあるのではないか。という気がしたのでちょっと計算してみた。1000万人当たりの金メダル数でみると、ドイツは21カ国中、17位である。1000万人あたりの総メダル数でみると、ドイツは21カ国中18位の4.0である。金メダルを3点、銀メダルを2点、銅メダルを1点と重み付けした場合は、21カ国中18位の8.4である。これらの3つの指標でドイツより下の国は固定されていて、スペイン、ポルトガル、ポーランドとなっている。

別にオリンピックでメダルを取ることにアクセクする必然性はないし、そういうのに超絶して暮らしている方が立派という見方もあるかもしれない。しかし、ドイツは、昔はオリンピックでは圧倒的な強国であった。例えば東西ドイツが再統一されて最初に開催されたオリンピックであるバルセロナ・オリンピックでは国別ではアメリカに次いで2位で3位の中国を大きく引き離している。このときの金メダル数は33, 総メダル数は82であった。ちなみに日本は3, 22である。その次のアトランタはロシアが参加したので、国別ではアメリカ、ロシアに次いだ3位であったがそれでも中国より上であった(金メダル数20、総メダル数65)。シドニーでは中国と開催国であるオーストラリアの後塵を拝し、5位で金メダル数13, 総メダル数56であった。とはいえ、ヨーロッパでは最多メダル国である。その後、アテネでは6位で金メダル数13, 総メダル数49、北京では5位で金メダル数16、総メダル数41、ロンドンでは6位で金メダル数11、総メダル数44。このとき、初めてヨーロッパでは英国より低い順位となる。リオデジャナイロでは5位で金メダル数17、総メダル数42であった。この年もイギリスの後塵を拝する。そして、東京オリンピックでは遂に9位にまで落ち、イギリスだけでなくオランダ、フランスにも抜かれる。この時、金メダル数が10,総メダル数は37であった。

人口的に圧倒的に他国を凌駕していることを考えると、ドイツはもはやオリンピックでの強国どころか、欧州の中では弱小国になってしまっていることが、今回のパリ・オリンピックで如実に顕在化したことが分かる。さて、それではなぜ、弱くなってしまったのか。それは、「ゆとり」的生活を追求しすぎてしまい、生きることの情熱を相対的に喪失しまっているからではないか、というのが私の無礼な仮説である。

全般的に、人生に目標を持って生きているような人に現在のドイツではなかなか出会えない。いや、もちろん中にはすごい情熱を持って日々を送っており、脱帽するしかないような立派なドイツ人を知っている。しかし、日々、私が接している大学生とかをみていても、日本の大学生の方がまだ一生懸命なんじゃないか、と思うことも少なくない。私はドイツ鉄道をしっかりと運営できなくなってしまったドイツと、オリンピック大強国であったドイツが今や、ヨーロッパでは弱小国になってしまったこととは軌を一にしているのではないかと考えていたりする。なんか、生きることに白けているという人々が増えたことが、オリンピックの弱小化に繋がっているのでは
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