『レディ・バード』 [映画批評]
2017年のハリウッド映画。グレタ・ガーウィッグの監督デビュー作であるが、ロッテン・トマトの批評家支持率が196件目まで100%という極めて希有な作品である。そして、私が批評家でも100%支持するであろう。それぐらいの名作で、この監督の希有な才能を思い知らされる。ストーリーが非常にいいが、そのストーリーを見事に映像化させるのに貢献しているのは主人公を演じるシアーシャ・ローナンである。この自意識が強く、自分に誠実に生きようと藻掻くが、現実との軋轢、母親との対立とで自画が引き裂かれそうになるティーネイジャーの主人公を絶妙な見事さで演じている。高潔でもなく、ふしだらでもなく、不良でもなく、優等生でもない。つまり、9割のティーネイジャーが共感できるようなキャラクターを見事に演じきっている。しかも、自分に非常に正直で誠実である。そして、それが猛烈に観客に訴えかけ、主人公に肩入れさせる。まさに天才的な女優と才能溢れる監督とのコラボレーションが生んだ大傑作である。