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大阪の沈滞は長期的なマクロの交通戦略がないことが要因である [都市デザイン]

関西国際空港からミュンヘンにまで飛ぼうとルフトハンザのチケットを購入したら、9月からその便は運休になったとの連絡があった。仕方がないので、伊丹空港から羽田空港まで前日に飛び、羽田空港そばのビジネスホテルに泊まり、羽田発のフランクフルト行きの便に乗ることになった。これによって、時間にして18時間ぐらい余計にかかることになった。しかもビジネスホテル代まで余計にかかる。

大阪を中核とする関西大都市圏は、1000万人以上の人口を擁し、地球規模でみても巨大な都市圏である。アメリカ合衆国だとそれに匹敵するのはニューヨーク大都市圏しかなく、ヨーロッパでもロンドンがかろうじてそれと比較できるぐらいである。いや、とんでもなく巨大な都市圏なのだ。しかも、落ちぶれてはいるが国別にみても経済力は3位の日本で1000万人以上を擁する大都市圏なのだ。なんで、ドイツに飛ぶ直行便がないんだ。こんなおかしなことがあっていいのか。

その一つの理由は、関西国際空港が不便だということが挙げられる。それに比して羽田空港は便利だ。もし、これが羽田空港ではなく成田空港であったら、ルフトハンザもわざわざ運休して成田空港だけにするようなことはしなかったと思うのだ。国内便でのアクセスが悪いから、この便の需要を大きく下げると思うだろうから。それに比して、羽田空港は国内ハブ空港としても日本で最も優れている。そりゃ、羽田から飛ばせれば羽田から飛ばすよな。

しかし、そもそもこれだけ一極集中している東京の23区内にある空港をハブ空港とさせる計画とはなんなのだろう、と思う。というか、成田にしろ、関空にしろ、中部セントラルにしろ、国際空港は皆、都心から遠くに整備したが、これだと国内ハブ空港として機能させるだけの需要が確保できないので、羽田空港のような国内ハブ空港として利便性が高いところに国際空港を整備すると、そこに国際路線が集中するのは当たり前だ。

さて、そういう風に考えると、つくづく関西国際空港を整備した計画というのは戦略性に劣っていたと思われる。羽田空港に対抗しようとしたら大阪湾の大阪都心寄りにそういう空港を整備することを真剣に考えるべきだったのである。関西国際空港、あまりにも遠いし、タンカーが橋にぶつかるだけでアクセスができなくなってしまう。使い勝手が悪すぎる。大阪圏を浮上させるどころか、足を引っ張ってしまっている。リンクウタウンもまったく、掛け声だけで終わってしまったし。伊丹空港は立地的にいろいろと制約があるというなら、京都や奈良からは遠すぎるが神戸空港を国際空港にした方がまだ関空よりはいいのではないだろうか。少なくとも神戸都市圏という100万人以上のマーケットへの近接性はある。

というか、神戸空港、伊丹空港、関西国際空港と3つも空港があるが、どれも帯に短し、たすきに長しで、しかも足を引っ張り合っている。大阪に必要なのは国内ハブ機能に優れた国際空港である。こういうことは、もっと計画を立てる時にしっかりと検討すべきことなのである。同様に、新幹線も新大阪駅ではなく、大阪駅に持ってくるべきことなのである。これは、東北新幹線に例えれば、上野駅で新幹線が止まっているようなものだ。これを東京駅まで延伸することに、当時、JR東日本で反対した人とかいなかったと思う。淀川の下を通すのがお金がかかりすぎるとかいうJR西日本の社員に会ったことがあるが、北陸新幹線で小浜から京都間であれだけトンネルを掘っている会社が言うことじゃあないな、と思う。

国際空港の立地、とか新幹線を中央駅に持ってくる、など都市の未来を決定づける判断を大阪は戦後、ことごとく誤ってきたと思う。リニアは絶対、大阪駅に持ってこさせるべきなのだ。もし、JR東海が嫌だというなら、新大阪駅に開発させないぐらいの強気な姿勢を取っていいと思うぐらいである。その代わり、多少は大阪も費用負担はしなくてはいけないかもしれないが。というか、東京によって、大阪が浮上するような機会をことごとく潰されてきたようにも思う。というようなことを、なんで私は今、羽田空港そばの貧相なビジネスホテルに金を払ってまで泊まらされているのか、という苛立ちとともに考えた。

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