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下手なミュージシャンを見て考察する [ロック音楽]

昨日、知り合いのミュージシャンが京都のライブハウスに出演するというので観に行った。知り合いはトリで最後だったのだが、15分ほど早く着いたのでその前の演奏者の演奏も聴いた。この演奏者はどうも岐阜出身の56歳のギターの弾き語りだったのだが、そのあまりの下手さ、そしてパフォーマンスの稚拙さに、驚くと同時に殺意さえ覚えた。まず、ギターの弾き語りなのだが、リズムは取れてないし、非常に簡単なコードでさえ押さえ間違えをしている。どころか、自分の曲であるのにコードを間違えて弾いているので音が外れたりもしている。このレベルで、人前でお金を取って演奏できるのは高校生でも厳しいのではないか。いや、実際14歳に作曲したとかいう、もう14歳でも黒歴史になるような曲を56歳で歌っていた。この自己肯定感は凄いが、逆にいえばまったく進歩していないことである。駄目なのに、それを自己肯定して、そのまま生きてきて、あろうことか、その進歩していない自分を人にお金を払わせて曝け出すという、その厚顔無恥さに対して、私は殺意を覚えたのである。ちなみに、この彼は、音程は外れていたが、声質だけはよかった。
 私もミュージシャンの端くれである。中学から作曲とかしているが、中学や高校どころか大学でも前半期につくった曲は人前で披露することはない。これは、進化しているからである。最近、出したCDでも大学三年ぐらいの時につくった曲を入れていたりするが、アレンジとかは全然、変わっている。
 私も下手であるので、下手の人を批判する資格はそれほどない。ただ、下手であるのに、その下手さを肯定して、そのまま演奏活動を続ける者は、いつまで経っても下手であることを受け入れているということだ。14歳からギターを弾いていて、56歳であの稚拙さというのはどう理解したらいいのだろうか。そして、ライブハウスで演奏している、というのはどう理解したらいいのだろうか。いや、東京ではあのような稚拙な演奏を金を払ったライブハウスで聴くことはまずあり得ないだろう。それだけ、京都が田舎ということなのかもしれないが、それにしても驚くほどの酷さである。
 最近もセッションに出たら、ギターの音を外しても平気で弾いているギタリストがいた。これは、おそらく音の正確なピッチが分からない耳音痴なのかなとも思う。ボーカリストも音を外している、と指摘されるとふてくされる輩がいたりするが、これも耳音痴なのであろう。意外とそういうボーカリストは声質はよかったりする(いや、声質も悪ければ誰も聴いてくれないので、声質だけで褒められたりしてきたのであろう)。こういう身体に欠陥がある人は、人前でお金を取って演奏する資格はないと思う。というか、きつい言い方をすると基本、人に演奏を聴いてもらう資格はないと思う。音楽を演奏するには身体的欠陥があるからだ(いや、自分が勝手に弾くのは全然、いいと思います)。
 今回のこの体験で、自分に何が欠けているのかをしっかりと認識し、それを乗り越える努力をしないと、いつまで経っても、それこそ死ぬまでダサい自分から脱却できないのだな、ということを改めて知る。努力をすれば、勉強すれば、人は変わられる。ギターも上手くなるし、歌も上手くなる。ただ、自分が何が出来ていないのか、それを謙虚に捉えようとしないと駄目だ。ということを改めて知った。
 さて、あまりにも酷い前座だったので、知り合いの演奏もびくびくしながら聴いたのだが、知り合いの演奏はよかった。お金を払う価値があるパフォーマンスを見せてくれたので、それは救いであった。

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