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小山田圭吾の壮絶ないじめ告白について無責任に考察する [ロック音楽]

小山田圭吾が1990年代にロッキンオンの取材で、中学と高校時代に陰惨で卑劣なイジメをしたことを自慢したことで、オリンピックの楽曲メンバーを辞退することになった。小山田は小学校、中学校、高校と和光学園というお坊ちゃま・お嬢ちゃまの私立学校に通う。ということで、このイジメは和光学園でやられたことだが、「うんこを食べさせたうえにバックドロップをした」「パンツを脱がせて女性生徒のいる廊下を歩かせた」というイジメを実際に行って、それを学校側に見つからないことはちょっと考えにくい。おそらく、ロッキンオンという雑誌への取材ということで、そうとう盛ったのではないかと考えられる。
 小山田の実家はお金持ちである。音楽一家でもあるし、才能は間違いなくある。ただ、つくる音楽はロックというよりか、お洒落系の軟派な音楽である。ロッキンオンを読むレッド・ツェッペリンとかメガデスとかが好きな層に、お前等、自分のことを軟弱なミュージシャンと思っているかもしれないが、俺のサディスティックな狂気を知ってビビるなよ、みたいな気持ちがあったのではないだろうか。いや、知らんけど。
 そういうことで、小山田はちょっとした冗談(趣味は悪いが)的に大袈裟に言ったことが、今回、大炎上して同情はしないがアホだなと思っている自分がいる。しかし、それじゃあ寛容な気持ちになれるかというと、まったくそういう気持ちにはなっていない。なぜなら、小山田本人よりも周りにろくでもない輩がたくさんいることが分かったからだ。例えば、いとこの音楽プロデューサーの田辺晋太郎は、この件で「はーい、正義を振りかざす皆さんの願いが叶いました、良かったですねー!」とツイートした。さらには、小山田の所属するバンド「METAVIVE」のメンバーであるゴンドウトモヒコ氏は「偉いよ小山田くん。受け止める。いい音出してこう!!!!! 寧ろ炎上なんか◯◯喰らえ」とツィートした。さらに、これは昔の話だが、前述したいじめ取材をしたロッキンオンの編集者はいじめ被害者と対談するという破廉恥な企画を具体化すべき、被害者の家まで行っている(もちろん、断られる)。
 ということで、小山田にしろロッキンオンにしろ、「イジメが悪いような偽善的な風潮が世にはびこっているが、身障者をみたらいじめたくなるのが人間の本性だろう!」みたいに、本音を曝け出すことを是とするような、「不良の正義」みたいなことを主張することが格好いいというか、ロック・バンド的に正しい、みたいに当時は思っていたのかもしれないな、と考察したりしている。
 ロックをする人は多くの場合、いじめられっ子である。ビートルズだってジョンは母さんや運命にいじめられたし、ポールも母親を失ったことでロックに走る。他にもマリリン・マンソンやフィオナ・アップル、アラニス・モリゼット、クリスティナ・アギレラとかが浮かぶ。まあ、中にはZZトップのビリー・ギボンスのような裕福な家の息子もいるが、大抵、その攻撃性は若い時のトラウマから生まれている。レディ・ガガも実家はめちゃくちゃ裕福だがいじめられっ子だったからな。
 そういう中、小山田は裕福な家、というのに加え、和光学園というまあ、甘やかされっこしかいかないような私立学校に小学校から高校まで行っていたので、ある意味屈折したコンプレックスのようなものを持っていたのかもしれない。相方もドイツ文学者の息子にして東大文学部卒のお坊ちゃまだったからな。そんな俺にも反社会的な要素があるんだ、ロックをするという「ロッキンオン的意義はあるんだ」ということが主張したくて、ちょっと容赦のないいじめっ子みたいな演出を過度にしようとしていたのではないか。そして、ロッキンオンとかいとことか、バンド・メンバーとかもそういうのを是にしていたところがあるかとも思う。そういう価値観を醸成させ、そしてそれに乗っかる、というような嫌らしさがプンプンとするのだ。そして、私は小山田本人というよりかは、そのような「突っ張った格好良さ」をミュージシャンにまで求める雰囲気に嫌悪感を覚えるのだ。それは「正義を振りかざしたい」からではない。音楽以外に変にラベリングをするという姿勢が嫌なのだ。まさに小山田を非難する人達を「正義を振りかざしたい」でラベリングする田辺晋太郎はその典型で不愉快だ。
 別にさ、飛び切りの才能を持っているんだから、素直に「音楽では才能あるんですけど、特に人間性とかは一般的です。いじめはやっぱいじめられた側のこと考えるとしんどいね」とか言ってればいいのに、90年代という時代がそうではないことまでミュージシャンに求めたのかもしれないな。そして、小山田はそれに応えようとして、ちょっとサービス精神旺盛で答えてしまったのかもしれないが、そういう虚構を支える周囲の奴らが「えぐいイジメをする奴こそ格好いい」といった歪んだ価値観を生む。この虚構を支える奴らこそが本当の邪悪で私を不愉快にさせている。小山田はその象徴にしか過ぎないと思う。
 

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