『日本の美林』井原俊一著 [書評]
日本は森林国である。森が占める国土面積の割合は7割にも及ぶ。スイスのような山岳国家ではないのに、この割合の高さは改めて驚くような数字である。さて、しかし森と一言でいっても一様ではない。広葉樹、針葉樹、原生林、天然林、人工林・・・いろいろとそのタイプは違う。本書では、「資源」と「環境」という二つの対立する価値観で捉えられる日本の森をいかに「生きた森」として持続可能な状態で将来に維持させていくか、その方策を検討する。著者は全国24カ所の森を訪ね、それらの森の現状報告・分析を通じて、日本の森の多様さ、豊かさ、そして、その危機的な現状を読者に伝えてくれる。