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東京新聞のトランプ大統領ツィッター永久停止批判のここがおかしい [トランプのアメリカ]

私が愛読する東京新聞は、トランプ大統領のツィッター永久停止に関して積極的に批判を繰り返している。1月13日には次のような記事を掲載している。「米ツイッター社によるトランプ大統領のアカウント永久停止を受け「表現の自由」を巡る議論が高まっている。一握りの巨大IT企業の介入や裁量によってネット上で発信の場を奪われかねない現状に、透明なルール化を求める声が上がっている。(ワシントン・白石亘)」
 そして、なんと共和党のトランプ出鱈目大統領の嘘を支持して大顰蹙を買っているルビオ議員のコメントまでをも紹介している。「選挙で選ばれたわけでなく、民主的な説明責任もない4つか5つの企業が、独占的な力を持ってプラットフォームから人々を抹消している」。
 ここで私がとてつもない違和感を覚えているのは、ツイッターが人びとを、内乱を扇動する大統領の嘘八百を規制することを「表現の自由の侵害」と言っているが、私を含めて多くの人が「自由」に東京新聞で発言することには規制がかかっているということだ。それを「表現するかどうか」は東京新聞がチェックをし、東京新聞が絶対的な力を持っているのである。私はこれまで多くの単著の企画が出版社に落とされたりしているが、これを「表現の自由」の侵害だとは言わない。また、いろいろと原稿を書いたりもするが、しょっちゅう、ここを直して欲しいと内容面での依頼も受ける。それを「表現の自由」の侵害だと敢えていわない。もっと身近な点では、「食べログ」にコメントすると結構、「食べログ」にチェックされて閲覧できなくされる場合がある。納得する時もあるが、納得できない時もある。ただ、このような「表現の規制」があるために、食べログの情報が一定のクオリティを維持できているということはある。
 今回の内乱では、警官が殺害されたし、彼を含めて5人がなくなった。命は維持できたが、失明したり、大けがをした警官も多い。それは、副大統領と下院議長の命が本当に一分ぐらいの時間差で守られたような事件であったのだ。そして、それを扇動し、アメリカ合衆国という国が転覆するような事件の首謀者が大統領だったのだ。そのツールがツイッターという21世紀に現れたメディア・プラットフォームであった訳だが、我々はその危険性に対してあまりにも無邪気であったのではないだろうか。私のように毎日、2時間はアメリカのニュース番組(おもにMSNBCとCNNだが、たまにCBSもチェックする)を観ていたものには、トランプの危険性、そしてその危険性を増幅させていたツールがツィッターであることがよく理解できたので、むしろトランプのツイッターアカウントの永久停止は遅きに失したと考えるぐらいである。東京新聞はドイツのメルケルのコメントをコンテクストから外して紹介したり、トランプの国家転覆を支援するロシアの大臣のコメントなどを紹介しているが、そんな牧歌的に「表現の自由の侵害だ」と言っているような状況ではない。連邦国会議事堂の乱入者達が、口々に「革命だ」「1776年だ」と叫んでいたことから分かるように、内戦が勃発する寸前であったのだ。
 そういうことを東京新聞の記者達が理解しているのかどうかも疑問だが、自らは自由に表現させるプラットフォームでもなく、一方的に情報を選別し、情報を発信する東京新聞が、ツイッターのようなソーシャル・メディアが選別することを批判する資格はないと思う。というか、食べログの情報規制をその前に批判すべきである。やっていることは同じ、というか、食べログが規制する情報の方が、トランプが発信する情報よりはるかに社会的には害が少ないので、そちらの方が「表現の自由」に反しているであろう。

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