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トランプの失言と虚言 [トランプのアメリカ]

先日(8月10日)のブログで、バイデンの失言をことさら、問題であると取り上げる日本のマスコミのバランス感覚の欠如を指摘した。ただ、一方的に批判するのも何だなと思い、トランプの失言集でもこのブログで書こうと考え、トランプの失言集が書けないことに気づいた。というのは、トランプは嘘デタラメを言いまくるので、もはや失言というレベルではないからだ。政治家は嘘つき、というのは古今東西、多くの人が理解していることかと思う。しかし、トランプはそのような「政治家は嘘つき」といったレベルを遙かに超越している。
 2017年のAmerican Ethnologistの記事でCarole McGranahanは嘘つきという点では、トランプは他の政治家とはまったく違う次元にあり、「最も成功した効果的な嘘つきである」と表現している。そして、トランプの出現と政治家としての成功によって、他の(主に共和党)政治家もトランプに倣ってあからさまな嘘をつくようになっている(これらは、特にコロナ・ウィルス関連で明らかになっている)と指摘している。
 ライス大学のDouglas Brinkleyは、政治家は嘘をつくことはあるが、トランプのように「常に、高頻度で」嘘をつく政治家は初めてであると言及している。そして、「嘘自体がもう政策となっている」と述べてもいる。まさに、トランプという政治家は、これまでとは異次元の、まさにカルト宗教の教祖のような存在になってしまっている。実際、まともなマスコミ(NBC系)はトランプの支持者をカルト団体と表現しているが、結構、適切な指摘であろう。
 したがって、失言より遙かにたちが悪い。実際、トランプはプーティンに対しての大統領としては極めて不適切な発言を「失言であった」と言い訳をしている。まあ、それに加えて、有名な失言は次のようなものであろう。
2016年10月20日:「I don't even wait. And when you're a star, they let you do it. You can do anything. ... Grab them by the pussy」。訳すのもおぞましいが、敢えて訳すと「(女性がその気になるのに)俺は待ったりしない。スターだと(女性は)何でもさせてくれるさ。何でもできる。○○をつかむことだってできるさ」。
2017年8月15日:「you also had people that were very fine people, on both sides.」 バージニア州のシャーロットビルで人種差別デモをしていたネオ・ナチのグループが、それを阻止しようとした人種差別反対の人を殺した後の発言。これは、バイデンに大統領出馬を決意させたきっかけとなる。
2018年9月29日:「[Kim] wrote me beautiful letters and they're great letters. We fell in love.」これは、失言というか、ただの馬鹿発言かもしれない。
2019年5月17日:キム・ジョンウンへの対しての賛辞「Well, first of all, let me say that I think that Kim Jong Un, or Chairman Kim, as some people say, is looking to create a nation that has great strength economically. I think he's very much -- I talk to him a lot about it, and he's very much into the fact that -- he believes, like I do, that North Korea has tremendous economic potential like perhaps few other developing nations anywhere in the world」(いや、これは失言というよりかは、ただ馬鹿丸出しの発言ですが)。
2019年6月28日・29日(大阪でのG20サミット):「 Get rid of them. Fake news is a great term, isn't it? You don't have this problem in Russia but we do.」 この場合のthemはマスコミ。訳すと、(マスコミ)を駆除しないと。フェイク・ニュースという造語は最高でしょう。このような問題はロシアにはないかもしれないが、アメリカにはあるんですよ。
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 こんな感じで失言をまとめてみようとしたが、よく考えたら、嘘の方が遙かに失言よりも質が悪い。というか、トランプの支持者のSNSのタイトルが「Slip of the tongue」(失言)であった。失言がむしろトランプの売り、というか、トランプの場合は常にけんか腰なので、その勢いある発言をむしろポジティブに捉えている傾向さえうかがえる。
 そういう輩を相手にすることになるバイデンの失言を問題視して、取り上げること自体、まさに揚げ足を取る行為であろう。もっと、しっかりとトランプの嘘やデタラメさ加減を報道していての、報道であるならまだ理解できるが、東京新聞はそのようなトランプ批判が極めて弱いという印象を持っている。
 ちなみにトランプは2020年7月9日時点で20000回の嘘をついている。これは、一日12の嘘をついている計算になる。下記のワシントン・ポストの記事とかに詳しく、その内容が書かれている。東京新聞の記者とかは参考にするといいと思う。
https://www.washingtonpost.com/politics/2020/07/13/president-trump-has-made-more-than-20000-false-or-misleading-claims/

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