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トランプが持ち出した感染者あたりの死亡率という指標 [トランプのアメリカ]

AXIOSのオーストラリア人ジャーナリスト、ジョナサン・スワンの取材を受けたトランプが、その事実誤認を指摘されて動揺したことが、随分と話題となっている。下記のユーチューブでその一部を見ることができる。
https://www.youtube.com/watch?v=Ifns-1Wlji0
 アメリカは他国に比べてコロナウィルスにしっかりと対応している、世界の羨みの対象だ、とデタラメをほざきまくっているトランプであるが、今回はプロのジャーナリストに対してそれを主張してしまったので、その無理解が露呈されてしまった。
 彼は4枚ほどの紙を説明のために持参しており、スワンが「アメリカのどこがコロナウィルスの対策をしっかりとできているのですか。一日に1000人が死亡している(こういう数字を書くと、日本の対応は酷いが、流石にアメリカよりは遙かにましな状況であることを再確認する)のですよ」と指摘すると、得意げにこれらの紙をみせる。
 スワンはそれらを見て、これは「感染者あたりの死亡率ですね。私が問題にしているのは、人口当たりの死亡率です。アメリカはこの点では他国に比べて最悪の状況です」と指摘する。トランプにしては、それを指摘されると珍しくちょっと戸惑った表情を見せる。それはともかく、「感染者あたりの死亡率」という数字をみると、確かにちょっと面白い結果が示されている。アメリカのそれは3.3%、これは世界平均の3.8%より確かに低い(データは2020年8月7日)。ちなみに日本は2.4%である。中国は5.3%で、メキシコは10.9%である。アメリカは人口当たりの死亡率だと、世界一ではないがイギリス、イタリアに次いで高い。
 それでは、この「感染者あたりの死亡率」というのは何を示唆しているのだろうか。まず、コロナウィルスによる死亡率は高齢者率が高い国ほど高くなるので、高齢化率が高い国ほど高くなるだろう。もう一つは、死亡率の低い若者が多く感染していると、この数字は低くなるであろう。
 高齢化率とコロナウィルスの死亡率を示したグラフがあるのだが、アメリカとブラジルは高齢化率が低いにも関わらず、死亡率が高い。というか、前述した死亡率がアメリカより高いイギリス、イタリアはアメリカより高齢化率が高い(特にイタリアはずっと高い)。
https://web.sapmed.ac.jp/canmol/coronavirus/bubble.html
 ということで、「感染者あたりの死亡率」がアメリカで相対的に低いというのは、単に「コロナで死ぬ確率が低い若者が多く感染している」ということであって、これはむしろコロナウィルスの無策を露呈している。しかし、トランプはおそらくそういうことも分からないのだろう。いや、ジョナサン・スワンがこの点を指摘した時の、トランプ大統領の表情は、嘘の確信犯的な自信があるものではなく、困惑したようなものであったからである。
 日本もおそらく「Go To トラベル」を要因とした、沖縄などのコロナウィルスの新規感染者数が増えていてとんでもないなと思わされるが、トランプが日本の政治家でないことはちょっと安堵する。しかし、対岸の火事の火の粉がいつ日本に飛んでくるか分からないので注意していないと。

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