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木村太郎は耄碌しているのか?あまりにも的外れなコメントに愕然とする。 [トランプのアメリカ]

東京新聞を読んでいる。木村太郎のエッセイも掲載されている。切り口は鈍いが、それなりにためになることも書いていた。しかし、今朝(2020年4月7日)の「太郎の国際通信」の内容は酷いものであった。そこには、CNNが3月31日のトランプのコロナウィルスに関する記者会見を報道しなかったことを「大統領のメッセージが恣意的に編修されるのは「知る権利」から見ていかがなものかとも思うのだが」と柔らかな口調で批判している。ちなみに、彼はワシントンポストの記事が「MSNBCも全編、放送するのを止めた」と書いていると述べているが、MSNBCは放送している。もちろん、多くの批判的コメントと共にではあるが。ということで、こういうコメントを書くなら、記事でなくてMSNBCが報道したかの裏ぐらい取るべきであろう(私のような素人ブロガーでさえ、このように木村太郎を批判するのに裏付けを取っている)。
 トランプはコロナウィルスの記者会見の視聴率の高さを自慢した。そもそも、生き死にに関わる国家的危機に国民がテレビ番組を見るのは当たり前であろう。我々だって、昨日のコロナ関連政策の安倍首相の記者発表とかは観る。問題は、そこで視聴率の高さを意識するトランプの頓珍漢ぶりである。さて、木村太郎は、この視聴率の高さがトランプの支持率の高さにつながり、「トランプ再選を阻止したい反トランプの米国の主要メディアは、この高い支持にジレンマに陥っている」と解釈しているが、これは論理的でもないし、分析的でもない酔っ払いオヤジの酒場での戯言のようなものである。
 まず、トランプの支持率が高いことは、これは国民的危機に直面したアメリカ人の性向であり、9月11日(セプテンバー・イレブン)時にそれまで低迷していたブッシュ・ジュニアの支持率が高騰したり、1979年のイラン・アメリカ大使館人質事件ではカーターの支持率が高騰したり、パール・ハーバー時のFDR(彼はそもそも支持率が高かったが)の支持率も非常に高くなった。このような現象は「A Rally Around the Flag Effect」と呼ばれているアメリカ人の特徴である。むしろ、トランプの場合は、この効果が相対的に低いと分析されている(例えば、下記のNPRの記事)。
https://www.npr.org/2020/03/27/822043781/trumps-approval-hits-new-high-but-a-rally-around-the-flag-effect-is-small
 また、トランプのコロナウィルスの記者会見の視聴率が高いのはトランプ人気とはまったくの別物だ。人々はトランプではなくて、コロナウィルスに関心があるからだ。
 CNNがなぜ報道しなかったのか。それは、トランプの支持率の高さに繋がるというのではなく、トランプがコロナウィルスに関してあまりにもデタラメばかりを報道しており、逆にそれを人々に知らしめることで、人の命に危険が及ばされるからである。例えば、人工呼吸器を送っていないのに送った、とかマスクをした方がいい、と国民に言った後、「俺はしないけど」と付け足したり、また2月には「コロナウィルスは全然、平気」というようなことを全く根拠もなく言ったりしたからである。これらの発言が、どれだけ多くの人を罹患させ、場合によって死に至らしめたのか。そのような被害に加担することを報道機関としては潔しとしなかったのである。トランプのこれらの発言をそのまま強調したフォックス・テレビは今、国民からの訴訟を恐れており、スケープゴートとして一人のそのような発言をしたキャスターをトカゲの尻尾のごとく切っている。そもそもテレビ局こそが視聴率を欲しいのである。視聴率が高いというのは、テレビ局が求めることであり、トランプの視聴率が高いということはテレビ局にとって価値があることで、国民にとってはどうでもいいことだ。
 ちなみに、昨日の夕方のトランプの記者会見の模様をCNNは報道しているが、下記をみていても分かるようにトランプは「アメリカはどこの国よりもテストをしている(大嘘)」など平気で言っている。そして、コロナウィルスの問題でさえ、すぐ他人のせいにする。そして、これらはゴミのように酷い内容だが、CNNは流した。CNNが流さなかった31日の報道内容は、これよりもっとさらにデタラメでまさに「聴くに値しない」。
https://www.youtube.com/watch?v=atV8aa-_D0Y
 CNNの対応こそ、報道機関としては見習うべきものである。大本営の記事をそのまま載せていて国民を戦争に突入させたマスコミとして、もっと自省するべきである。耄碌をしていたなら許せるが、そうでなければ、ジャーナリストとして失格である。

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