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市場経済の倫理の欠如は、コロナウィルスの感染爆発という状況下では致命的である [トランプのアメリカ]

このブログ記事を書いている現時点(2020年4月3日)で、コロナウイルスの世界全体の感染者数が累計103万人を超え、死者も5万4000人に達している。コロナウィルスの感染者数が最も多い国はアメリカ合衆国で24万6000人にいる。さて、アメリカは急激なペースで感染者数を増やしているのだが、最善のシナリオでも10万人の死者が出ると言われている。
そのような状況下で、トランプ大統領はほとんど無策である。そもそも、2月になってもコロナウィルスは風邪のようなものだ、とか民主党の陰謀であるとか、対策を取ることを怠っていたこともあり、現在、後手後手に回っている。この結果の最大死者数であることは間違いないであろう。さて、アメリカにおいてのコロナウィルスの蔓延の危機は、医療機器が不足しているということだ。特に、呼吸器の不足は致命的であり、医療崩壊がもう起きる前夜(既に起きていると解釈することもできる)状態である。
この問題に関しては地域差があるが、州別にみるとニューヨーク州、ミシガン州、カリフォルニア州において患者数が多い。したがって、これらの州では喫緊に不足する呼吸器を確保しなくてはならないのだが、ここで呼吸器を販売する側は、これらの州、さらには国の緊急事態管理庁に入札をさせているのだ。つまり、競りをさせて一番高い価格を提示したところに販売するというようなことをしている。(https://thehill.com/homenews/state-watch/490263-shortage-of-medical-gear-sparks-bidding-war-among-states参照)。
市場経済では需要と供給が均衡しているところで価格が決まる。「見えざる手」が機能するからだ。しかし、人の命が関わった場合、命の値段を市場が決めることになる。「見えざる手」は命の価値を市場の動きでしか判断できず、そして、命の価値はその個人の財産によって決まる(この場合は州の裕福度か)。そうすると金持ちが生き延び、貧乏人が死ぬということになる。これは、金持ちにとっては都合のよいシステムかもしれないが、貧乏人にとっては不合理で理不尽なシステムである。このように無慈悲で倫理性がゼロの市場経済が万能であるかのように社会を構築してきたアメリカ共和党とトランプ大統領の国が、このコロナウィルスが猛威を振るっている中、最も脆弱であることはある意味、当然の帰結であろう。なぜ、バーニー・サンダースやアレクサンドリア・オカシオ・コルテスが多くの人々の支持を受けるのかが理解できるような、アメリカの市場経済社会の無慈悲で非合理さを、コロナウィルスはあぶり出している。

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